※日商ビジネス英語検定は2023年にリニューアルとなり、旧制度からスコア制へと変わりました。(検定料6,600円)
日商ビジネス英語検定は、英語でのビジネス・コミュニケーションに特化した検定試験。
同じビジネス英語検定のTOEICと比べるとあまり知られていませんが、年間70万人以上が受験している実務に役立つ資格です。
本記事では日商ビジネス英語検定の概要や対策、TOEICとの違いなどを説明していきます。
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日商ビジネス英語検定とは
日商ビジネス英語検定は、日本商工会議所主催の英語検定試験です。
英語の能力と国際取引の知識を組み合わせた検定試験で、ビジネス実務に直結する知識やスキルを測定します。
ビジネスに特化した試験のため、受験者は社会人が多数。
商工会議所の試験は企業が必要とする人材の育成を目的にしていて、「商工会議所法」に基づき、全国統一の基準により実施している公的試験です。
試験は商工会議所の試験会場でインターネットを使って行われます。
日商ビジネス英語検定の資格を取得するメリット
日商ビジネス英語検定の資格を取得するメリットは主に以下の4つ。
- ビジネスシーンで役立つ英語を学べる
- 英語の文書作成に強くなる
- 2級、3級はすぐに資格取得ができる(試験当日に合否判定)
- 商社や海外取引を行う企業の就職に有利になることも
学習を通じて得ることができるスキルについても説明していきます。
ビジネスシーンで役立つ英語を学べる
日商ビジネス英語検定では単に英語力の測定をするだけではなく、海外向けのビジネスで役立つ英語を学ぶことが可能です。
- 電子メール、英文レター
- 企画書
- 報告書
- 契約書
検定では英語で具体的な場面設定がされ、上記のような実務で必要になってくる書類が題材に。
試験を通して仕事で使える英語力を身に付けることができます。
英語の文書作成に強くなる
ビジネスにおいて文書は重要なツールです。
口頭による伝達のような言い間違いや聞き間違いといった誤解が少なく、複雑な内容でも記録として正確に残すことができます。
日商ビジネス英語検定では、ビジネス文書に関する知識が数多く出題。
試験はライティングを重視していて、英語の文章で自分が意図したことを相手に正確に分かりやすく伝える能力が必要です。
文章に応じて適切な品詞(形容詞、副詞、過去分詞など)を選ばせるような問題もあり、ブロークンな英語ではなく、文法的にも正しいビジネス文書を作成できるようになります。
2級、3級はすぐに資格取得ができる(試験当日に合否判定)
検定試験では通常、合否判定に時間がかかってしまうもの。
たとえば英検の一次試験は「英検合否結果閲覧サービス」で調べるのが最速ですが、結果発表は受験後約2週間後になります。
日商ビジネス英語検定の2級、3級はなんと試験終了後すぐに結果を知ることが可能。
合計点を知りたい人は、本人であれば受験した商工会議所で教えてもらうことができます。
ただし1級は複数の専門家により採点されるため、他のレベルより合否発表に時間がかかり、統一試験日からおよそ1ヶ月かかるということです。
商社や海外取引を行う企業の就職に有利になることも
日本商工会議所の検定は公的な資格。
多くの企業から高い信頼と評価を受けていて、海外取引を行う貿易会社の事務職などでは、日商ビジネス英語検定を募集要項にしている会社もあります。
ほとんどの企業では2級以上が求められているので、3級は次のステップに進む前段階と考えておいた方がいいでしょう。
日商ビジネス英語検定のレベル(難易度)
ここでは日商ビジネス英語検定の各レベルがどういった人を対象にしているのか、またそれぞれの試験の難易度について説明していきます。
日商ビジネス英語検定3級のレベル
就職前に身につけるべき、英語によるビジネスコミュニケーションの基礎的な能力を求められるのが3級です。
ビジネス文書や国際取引に関する最低限の知識が問われますが、あくまで基礎的なレベルなので、ここを最終目標にするのではなく、入門編と位置付けるのがいいでしょう。
ビジネス英語である分、英検の3級より少し難しいぐらいの難易度になっています。
日商ビジネス英語検定2級のレベル
就職前あるいは就職後1〜2年以内に身につけるべき、英語によるビジネスコミュニケーション能力が必要とされるのが2級。
実際の海外取引業務で使われるようなビジネス文書の作成ができるレベルです。
2級の取得を高く評価する企業もあるので、国際取引に興味があるものの実務経験がないという人はここから目指していくのがおすすめ。
受験に必要な英語力はTOEICでおよそ600点〜、英検では2級程度と考えられます。
日商ビジネス英語検定1級のレベル
1級では英語力とビジネス知識を合わせた、十分なビジネスコミュニケーション能力が求められます。
2級よりさらに難易度の高い貿易取引の知識が必要なことに加えて、出題範囲が貿易やマーケティングなどさらに幅広くなるため、実務経験がない場合にはかなりの難関資格と言えるでしょう。
必要な英語力はTOEICに換算するとおよそ750点以上。
実際には高度な国際取引の知識や英文書の作成、分析記述があるため、単純な英語力だけでは測れない難しさがあります。
日商ビジネス英語検定の試験内容
ここでは実際の試験でどういった問題が出題されるのか詳しく見ていきましょう。
各級100点満点で70点以上が合格となります。
試験はすべてパソコンを使ったオンライン試験です。それぞれのレベルでいくつか具体例を出しながら解説していきます。
日商ビジネス英語検定3級の試験内容
3級の試験内容
- 英文レターライティングの基礎
- 英文ビジネスEメールの基礎
- 英文ビジネスレター・FAX・Eメールサンプル
- ビジネス英会話の基礎
- 海外取引の基礎
- 海外取引のレターサンプル
- 参考資料
3級の試験時間は30分。大問10題で各5問の合計50問となっています。
1問目は○×問題。問題は日本語で書かれているものが多いですが、英語の問題が出ることもあります。
中盤の問題は、貿易や取引に関するボキャブラリーや知識を問われる選択問題(選択肢は7つ)です。
後半は自分でタイピングして英単語を入れる穴埋め問題、大まかな国際取引の流れを日本語の選択肢から選んで回答する問題が出題されます。
最後はビジネスレターに関する問題が出題。選択問題となっていて、短い文の英文和訳、英語で書かれた用語の正しい意味を選ぶ問題が出題されます。
全体的には選択問題が多く、記述も単語レベルで、ヒントとして頭文字が与えられているのでそれほど難しくはありません。
英語力がある人でも、日常会話では使わないような見慣れない単語が出てくるので語彙の対策は十分にしておきましょう。
日商ビジネス英語検定2級の試験内容
2級の試験内容
- 英語文書の書き方
- ビジネス英語ミーティングとプレゼンテーション
- 海外取引と貿易書類
- 国際マーケティング
- 英文契約書
- 参考資料
2級の試験時間は40分で大問10題で各5問の合計50問です。
1、2問目は単語の意味や取引や契約に関する専門用語の意味を4択から選ぶ問題が出題。
日本語で書かれた文章を与えられた英単語を並べ替えて英訳する問題もあり、会議の資料や契約書で実際に出てくるような文言が使われています。
中盤には穴埋め問題が出題。3級のものと比べると1文あたりが長く、内容もやや高度です。
6問目以降は長めのパッセージを読んで問題に答える形式。たとえば、日本人の部下がプロジェクトの予算増額について外国人上司に交渉する際の会話、契約書や報告書など、内容はさまざま。
実際にビジネス文書を作成するときに「ここ、どんな風に書いたらいいかな」と判断に迷うような箇所が穴埋め問題や翻訳問題として出題されています。
また、企業がコスト削減のため製品を海外生産することを検討している、というような状況設定からの一問一答形式の問題も。
ここでは設問も回答も日本語で書かれていて、かなりディープな国際ビジネスの知識がなければ解けない問題となっています。
テスト全体を見ると、英語力はもちろん、企業から評価されるレベルなだけあって、幅広い貿易や国際取引に関する知識が必要なようです。
日商ビジネス英語検定1級の試験内容
1級の試験内容
- ビジネス英文書作成
- 長文読解
- 国際取引実務
1級の試験時間は90分で問題は全部で3題です。
問題1では英文のビジネスレターや電子メールを1から全部書き上げる問題となっています。
問題にはいくつか本文を書く上での条件が示されていて、それに従わなければいけません。
たとえば就職面接に関するビジネスレターを書く問題では、以下のような条件があげられることがあります。
- 第一段落には希望職種と志望動機を書くこと
- 第二段落には現在の就業状況や職務経歴について書くこと
- 第三段落には求人情報に明記されている必須の資格について言及すること
- 面接のお願いと連絡方法を記載すること
文字数の指定はないため、適切なボリュームの文章を書くことも大事です。
条件文は日本語で書かれているパターンと、英語で書かれているパターンがあります。
2問目は時事問題や経済、金融についての文章読解問題です。300〜500文字程度の文章を読み、日本語で要約する問題や指定箇所を英文和訳する問題がメインで出題。
メインの問題以外では、穴埋め問題や提示されたキーワードを使ったショートエッセイを書く問題が出題されます。
3問目は貿易や国際マーケティングについての理解力を問う問題です。
貿易規則の定義や売買契約、貿易書類、貨物・貿易保険などが主なトピックとなります。貿易に関連した国際金融、国際法務などが取り扱われる場合も。
問題は2部構成で、上記のトピックから2つが選ばれます。1つ目の問題では、英文和訳や文章を読んで与えられた条件でエッセイを書く問題が出題されることが多いです。
二つ目の問題は空欄を埋める選択問題となっています。
1級は総合的な国際取引実務のスキルが試されるので、実際に現場で働いている人がスキルアップで取得を目指すケースが多いようです。
日商ビジネス英語検定の料金や申し込み、受験の流れ
ここでは日商ビジネス英語検定の受講料や申し込み方法などを説明していきます。
基本的な流れは各レベル共通です。
日商ビジネス英語検定の受験料
以下の表は検定のレベルと受験料です。
レベル | 受験料(税込) |
3級 | 4,200円 |
2級 | 5,240円 |
1級 | 7,330円 |
支払い方法は銀行振り込みや当日持参など、各試験場によって異なります。
詳細は受験を希望する試験場に問い合わせましょう。
日商ビジネス英語検定の申し込みの流れ
日商ビジネス英語検定の申し込みの手順は以下の通りです。
- 日本商工会議所ホームページ「商工会議所ネット試験施行機関」からネット試験会場を確認
- 試験日や申込方法、受験料の支払い方法を希望するネット試験会場へ直接確認
申し込み方法は窓口や電話、インターネットなど各会場で異なります。
試験の実施場所
日商ビジネス英語検定は、商工会議所ネット試験会場で受験ができます。
試験会場はパソコンスクールや専門学校、職業訓練センターなどさまざまです。
すべての都道府県に会場があります。
東京だけでもおよそ30箇所で受験できるので、自宅から近い会場を選ぶことができるでしょう。
実施場所の詳細は商工会議所ネット試験施行機関から見ることができます。
受験の流れ
受験の流れは以下の通り。
- 受検の申し込み
- 受検会場で試験開始
- 試験終了のボタンをクリック
- 2・3級はその場で合否発表
空席がある場合は当日申し込みが可能な会場もあります。事前に確認しておきましょう。
1級は合否発表に時間がかかりますが、2、3級は試験終了ボタンを押した直後に画面上に合否が発表されます。
日商ビジネス英語検定とTOEICの違いって何?
日商ビジネス英語検定とTOEICはどちらも英語によるコミュニケーションとビジネス知識を測定する検定試験ですが、問題の内容や必要とされるスキルの点で異なります。
以下に両者の違いをまとめました。
英語力の証明方法
TOEICは合否判定ではなく、点数制。TOEIC L&Rは10〜990点の間で採点されます。
一方で日商ビジネス英語検定のほうは点数ではなく合否判定。
一定以上の点数(70点以上)を取れば合格になります。レベルが1級〜3級まで分かれているのも特徴です。
重視されるスキル
日商ビジネス英語検定は、ビジネス文書作成のためのライティングを重視した検定ですが、TOEICはリスニング力とリーディング力を測定。
またTOEICにはS&Wといって、スピーキングとライティングの能力を測定する試験もあります。
どちらもビジネス英語検定ですが、日商ビジネス英語検定は英語を用いたビジネスのための検定、TOEICはビジネスを題材にした英語力を測る検定と言えるでしょう。
出題内容
検定で取り扱われる内容にも違いがあります。
TOEICはビジネス英語はもちろんですが、日常の場面を想定した内容も同時に出題されます。
一方で日商ビジネス英語検定は国際取引における知識やビジネス文書などのトピックに限定された内容です。
どちらも就職・転職に有効な資格ですが、海外との取引がメイン業務になるような仕事においては日商ビジネス英検のほうが強力なアピールになると言えます。
TOEICは仕事だけではなく、進学や留学にも活用できるので、自分にとってよりメリットのある方を受験しましょう。
日商ビジネス英語検定の試験対策はどうする?テキストや教材を紹介
日商ビジネス英語検定に合格するためには、英語力とビジネス知識を同時に身に付けなければいけません。
ここではどのようにして試験対策をするか、具体的に説明していきます。
公式の公認教材を使用して勉強する
(画像引用:Amazon)
2級と3級は公式教材が発売されているのでぜひ利用しましょう。
公式模擬問題集は2、3級共通のものがあり、テキストはそれぞれ1冊ずつ用意されています。
ただ受験者の体験談によると、実際のテストでは公式教材で取り扱われていない用語がかなりの量出題されたという報告も。
普段から英語の新聞やビジネス書を読み、分からなかったボキャブラリーはその都度辞書で調べるクセをつけておきましょう。
1級は公式サイトのサンプル問題などで勉強する
(画像引用:Amazon)
1級が難しい試験である理由の一つが、公式の問題集と模擬試験が出ていないこと。
公式サイトでサンプル問題と作問方針が公開されているので、そちらを利用しましょう。
また貿易実務検定の参考書を使って勉強するのも一つの手です。
貿易実務検定は英語の検定ではありませんが、試験の中に英語のセクションがあり、日経ビジネス英語検定と互換性があります。
以下の本は貿易実務検定の英語セクションに特化したテキストです。
新版 貿易実務検定(R) オフィシャルテキスト [貿易実務英語科目]
商工会議所の研修を受けてみる
商工会議所ではパソコン教室を開催しているところがあり、そこで日商ビジネス英語検定の2級と3級の研修を受けることができます。
商工会議所のパソコン教室は全国で113箇所。
北海道など教室がない地域もあるのでパソコン教室一覧から確認しましょう。
パソコン上で学習するため、受講日時は自分のスケジュールに合わせることができます。3級の標準受講時間は12時間、2級は16〜18時間です。
金額などの詳細については最寄りの教室に問い合わせましょう。
通信講座や資格対策スクールで勉強する
日商ビジネス英語検定は内容が専門的であるため、独学するのは厳しいという人もいるかもしれません。
そういった場合、通信講座や資格取得のためのスクールを利用してみてはいかがでしょうか。
日商ビジネス英語検定を受けて就職、転職に役立てよう
日商ビジネス英語検定は、英検やTOEICまで知名度は高くないものの、商社など海外取引がメインとなる企業に就職、転職する際に役立つ資格。
全くスキルのない人と、ある程度のスキルがある人とでは就職試験の合否だけでなく、入社後の評価も大きく変わる可能性が高いので、取っておいて損はありません。
簿記の資格はあるけど英語は全くダメという人は、これを機会に挑戦してみるのもありではないでしょうか。