「わらべうた」という言葉を聞くと、なんだか懐かしい、そして温かいイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、この「わらべうた」は日本で長く子どもたちの間で歌い継がれている遊び歌です。
今回は、わらべうたの効果や、おすすめのわらべうたについて年齢別に紹介します。
わらべうたとは?
「わらべうた」は読んで字のごとく、「童(わらべ=子ども)」のための「歌」で、子どもたちが歌いながら、体を動かしたり、手や指を使って遊ぶための歌です。
子どもたちが歌う曲といえば、子ども番組などで流れるようなものから幼稚園で習うような童謡までありますが、わらべうたは手遊びや童謡とどこが違うのでしょうか。
簡単に言ってしまえば、わらべうたは子どもたちから自然発生的に生まれたもので、手遊びや童謡は大人が子どもの為に作曲したものです。
また、古くから伝承されているわらべうたは、身近なものがテーマになっています。
例えば、自然を通した季節の歌や、鳥・虫・花の名前、子どもの気持ち等です。
わらべうたは子どもの成長を促すだけではなく、歌の中に時代を反映するものや地域性が入っていることで、日本の大切な文化を継承していくものでもあります。
「わらべうた」にはどんな効果があるの?
一口にわらべうたといっても、その遊び方には多くの種類があり、その趣向も様々です。
子どもの遊びではありますが、子どもたちの成長のためにたくさんのアイディアが詰まっています。
手遊びや遊戯によって身体の感覚が育つ
例えば「アルプス一万尺」は、歌と複雑な手の動作を一度に行うわらべうたです。
また、「あんたがさどこさ」は、歌とボールをつく動作が一つになっています。
歌いながら行うことで、一度に二つの違うことを頭で処理し、手や指、体を動かすという感覚を楽しみながら養うことが出来ます。
大人になってから同時に二つのことをするのは、なかなか難しかったりもしますよね。
子どもの頃にこうした経験をたくさんしておくと、両手で違う動きをするピアノやダンスの基礎にも繋がります。
親子の関わりでコミュニケーション能力が育つ
わらべうたで特に多いのは、人との関わりをもつ歌遊びです。
子どもがわらべうたに触れるのは、一番身近である親との関わりから始まります。
わざわざ難しい歌を覚えなくても、赤ちゃんを抱っこであやしながら親が子守歌を歌うこともその一つです。
そこから、少しずつ手を合わせたり、肌を合わせながら手遊びをすることで、それが親から周りの人とのコミュニケーションへ広がっていくスタート地点となります。
子ども同士の関わりによって社会のルールを学べる
友達と遊ぶ楽しさが理解できるようになってくる3、4歳くらいになると、親が教えずとも子どもたちはどこからともなくわらべうたを覚えてきます。
子ども同士で「教えて」と言わなくてもいつの間にやら流行っていたり、相手が欲しい友達が「やろうよ」と誘ってくれたりすることから自然と広まっているようですね。
教える、教えてもらうだけでなく、わらべうたの種類によっては順番や待つこと、お互いに息を合わせることなど、遊びの中でいろいろな社会のルールなどを学ぶこともできます。
音階やリズム感などが身に付きやすい
わらべうたは必ず歌がセットになっています。
ピアノなどの楽器を使わずとも、正しい音階やリズムが覚えやすいシンプルなものが多いので、自然と身に付きやすいです。
リズム遊びなら、ゴム飛びなどが代表的でしょう。
友達が飛んでいるときは、周りの子どもたちが体を揺らしながら歌を歌い、自分が飛んでいるときは自分でリズムに合わせて体を動かしてお互いに楽しみを共有します。
最初は「ゆうびんやさんの落とし物」など簡単な飛び方から始まり、少しずつ新しい歌や飛び方に移行することで、友達と上を目指していくのも楽しいですね。
余談ですが、筆者が高校になってから部活でダンス部に入ったのも、子どもの頃にリズムを刻む楽しさを味わっていたからかもしれません。
何事も楽しむ気持ちが最初にあることで、好きこそものの上手なれ、子どもは上達していくのかもしれませんね。
年齢別!発達に合わせたおすすめのわらべうたを紹介
ここからは、どんなわらべうたを選んだらいいかを、年齢別にまとめました。
誰でも一度は通ってくる道だからか、思わず懐かしいくなって口ずさんでしまうわらべうたもありそうですね。
遊ぶ時のポイントも合わせて紹介していきます。
0歳から3歳の子ども向けのわらべうた
まずは0歳から3歳の乳幼児向けからです。
「いっぽんばしこちょこちょ」(0歳から1歳)
乳児の時期は、体中のいろいろな場所を刺激してあげられるわらべうたを選びましょう。
自分の体の部位を赤ちゃんが意識することが出来ます。
「いっぽんばしこちょこちょ」
いっぽんば~し、こ~ちょこちょ
たたいてつねって かいだんのぼって
こちょこちょこちょ~
「たたいてつねって」の部分は優しくなでるようにしてあげてくださいね。
「ここはとうちゃんにんどころ」(1歳~2歳)
お座りが安定し、自分の体を自分のものだと認識出来る時期は、大人に触れてもらうことで直接愛情を感じられるわらべうたがおすすめです。
「ここはとうちゃんにんどころ」
こ~こはとうちゃんにんどころ
こ~こはかあちゃんにんどころ
こ~こはじいちゃんにんどころ
こ~こはばあちゃんにんどころ
こ~こはねえちゃんにんどころ
だいどう だいどう こちょこちょこちょ
「にんどころ」は古い言い方で「似ているところ」という意味で、顔から体中をちょんちょんとしてあげる歌遊びです。
「とうちゃん」の部分などはいろいろな言い方に置き換えることも出来ますね。
友達と似ているところを探すのも楽しいかもしれません。
「かごめかごめ」(2歳~3歳)
2~3歳は友達と一緒に何かをするのが楽しくなってくる頃。
仲良くなるきっかけにもなるわらべうたが「かごめかごめ」です。
「かごめかごめ」
か~ごめかごめ かごのなかのと~り~は
い~つい~つであう よあけのばんに
つ~るとか~めがすべった うしろのしょうめんだ~れ
とても有名なこの歌ですが、友達と手をつなぐこと、友達の名前を覚えることなど集団生活の中で基本になるものがいくつも入っています。
友達の後ろで一人が止まる、歌が終わったら座るなど、ちょっとしたルールも組み込まれてくるので、ぜひやってみてほしい遊びです。
3歳から5歳の子ども向けのわらべうた
3歳から5歳の頃は、幼稚園などでもルールを守ったり、順番を守ったりすることが増えてくる時期です。
大人に無理やりルールを守るように言われるよりも、子どもたちがお互いに遊びの中で楽しみながら学んでくれたら、そんなに素敵なことはありませんね。
少しずつ難しいルールも取り入れながら、「わらべうた」を存分に楽しませてあげてください。
「なべなべそこぬけ」(3歳~4歳)
友達を意識し始めるこの時期だからこそ、二人以上でなければ出来ない「わらべうた」にチャレンジしてみましょう。
「なべなべそこぬけ」
な~べ~な~べ~そ~こぬけ
そ~こがぬけたら かえりましょ
とても短い歌ですが、この短い時間で、お互い手を繋げて円を作り、そのまま後ろを向いたり、前を向いたりして大きな動作が入ります。
4歳、5歳でもまだ難しいかもしれませんが、これくらいの年齢になると、友達との共同作業が楽しくなってきて、何度もやりたがります。
筆者の娘もレクリエーションでチャレンジして、何回目かで「やっと成功した!」と喜んでいました。
「だるまさんがころんだ」(4歳~5歳)
少し難しいルールが理解できるようになってきたら、大人も一緒に楽しめる「わらべうた」に挑戦してみてはどうでしょうか。
「だるまさんがころんだ」
はじめのい~っぽ
だ~るまさんが こ~ろんだ
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10 ストッ~プ
「だるまさんがころんだ」は誰もが耳にしたことのある「わらべうた」の代表格です。
瞬間的に動きを止めること、相手の呼吸を読むこと、数を数えることなど、子どもにとっては難度の高い遊びになっています。
この他にもたくさんの「わらべうた」が全国には存在しています。
親子でのスキンシップのほか、子ども会の催しでの余興など、子どもたちと一緒にいろいろな「わらべうた」探しをしてみてはいかがでしょうか。
わらべうたは身体の感覚を育み、社会のルールも学べる優れもの!
わらべうたは、遊びを通して身体の感覚を刺激して成長につながるだけでなく、コミュニケーション力、音階やリズム感、社会のルールなども身に付けることができます。
必要な道具もないので、覚えてしまえばいつでもどこでもできる気軽さもいいですね。
今回紹介したわらべうたの他にも、数多くのわらべうたがあるので、子どもの発達に合わせながら色々な歌で遊んでみましょう。