習い事に英会話やプログラミングなどを選ぶ子どもが増えていますが、長年人気ランキングで常に上位を取っている習い事の一つに、スイミング(水泳)があります。
ただ、どうしてここまでスイミングを習い事にする子どもが多いのでしょうか。
今回は、スイミングを習い事にするメリットや、スイミングを習う時に事前に確認しておきたいことを紹介します。
習い事ランキングでは常に上位!スイミングはなぜ人気?
バンダイの「子どもの習い事に関する調査」(2019)によると、約4割の子どもが水泳を習っています。
順位 | 習い事 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 水泳 | 41% |
2位 | 学習塾 | 27% |
3位 | ピアノ | 24.9% |
4位 | 英会話 | 22% |
5位 | 書道 | 13.9% |
6位 | 体操 | 10.3% |
7位 | サッカー | 9.6% |
8位 | そろばん | 7.4% |
9位 | ダンス | 5.4% |
10位 | テニス | 2.6% |
長年、子どもの習い事ランキングで上位を飾るスイミング。
習い事にスイミングを選ぶメリットは何?
スイミングを習い事に選ぶメリットをまとめました。
- いざという時に自分を守れる
- 全身運動で体力がつく、丈夫なからだをつくる
- 大人になっても趣味として続けられる
- 送迎バスがあれば通わせやすい
- 友達が泳いでいる間は「順番を待つこと」が身に付く
具体的に見てみましょう。
いざという時に自分を守ることができる
多くの親が考えているのは、水泳を習っておけば、いざという時に少しでも自分を守ることができるということでしょう。
残念ながらスイミングを習っていたとしても、海や川で水の事故に遭うことはあります。
ただ、ある程度泳げれば、岸まで泳いでたどり着いたり、浮いて助けを待ったりするといった選択肢を取ることも可能です。
長野県 佐久総合病院 坂本昭彦 小児科医によると「子どもは静かに音を立てずに溺れる」そうです。
小学校でもいざという時のための対応について習うこともありますが、やっても年に一回程度。なかなか身に付くものではないでしょう。
一方、スイミングでは泳ぎ方だけでなく、水難事故に合わない方法についても、丁寧に指導をしてもらえます。
全身運動で体力がつく、丈夫なからだをつくる
水泳指導の手引きには、水泳の効用について、次のように記載されています。
水泳は連続的で「リズミカルな運動」であるといわれます。筋の収縮と弛緩が交互に繰り返され筋がポンプのような働き(ミルキングアクションと呼ばれる)をして、静脈還流が促進されると同時に全身の血液循環が促進されます。
(引用:学校体育実技指導資料 第4集 水泳指導の手引き(三訂版)P16)
また、クロールなど顔を付けて泳ぐ場合、ずっと息ができるわけではありませんよね。
ある程度泳げる子になると、25m間、数回しか息をしません。そうすることで、身体の持久力を高めることに繋がっていきます。
大人になっても趣味として続けられる
スイミングは、大人になってからでも続けることが可能なスポーツです。
プールに行くことさえできれば、自分のペースで泳ぐことができます。
年齢を重ねても、浮力おかげで膝や腰への負担が軽減できるうえに、怪我もしにくいので、スイミングは一生続けられるスポーツと言えるでしょう。
送迎バスがあれば通わせやすい
スイミングスクールのほとんどが、送迎バスのサービスを行っています。
毎回親が送迎しなくても子どもを送り届けてくれるのは、親にとってもありがたいものです。
ただ、子どもが幼いと、衣服の着脱など心配なことも多いですよね。
スクールに確認する必要もありますが、インストラクターが手伝ってくれるケースも多いので、ある程度身の回りのことができれば、そう不安にならなくても大丈夫です。
一方で、中には「親に送迎をしてほしい」「バスに乗るのは嫌だ」という子もいるので、必ずしも送迎バスを利用できるかは分かりません。
兄弟や友達がいるとバスでもスムーズに通えることが多いので、様子を見ながら切り替えるようにしましょう。
友達が泳いでいる間は「順番を待つこと」が身に付く
水泳は、水の中での競技、相手が子どもということもあり、インストラクターの先生方は安全面に対して非常に気を使っています。
1クラスの定員が10名前後であるのはそのためです。
ただそうなると、クラスの仲間が泳いでいる間に、しばらく待ち時間ができることがあります。
待ち時間は、ネガティブにとらえられがちですが、親のいない環境でも順番を守って待つという経験は、子どもにとって大切なものです。
列を作ることや待つことを身に付けることができれば、他の場面でも待てる子になります。
スイミングならではのデメリットもある
これだけメリットのあるスイミングであれば、習い事として人気なのもうなずけます。
個人競技のためチームプレイなどを身に付けにくい
スイミングは、サッカーやバスケットボール、ラグビーなどのスポーツに比べると、チームプレイが重視されるスポーツではありません。
メドレーリレーなど、仲間との息の合ったタイミングが必要なこともありますが、それもスイミングの中の一つの要素にしか過ぎず、多くはいかに個人の能力を高められるかといったことにあります。
体育など学校でチームスポーツをする機会はあるものの、スイミングを習い事にしている子は、長い目で見た時にチームプレイの経験がどうしても少なくなってしまいますよね。
チームスポーツでは、常に仲間のことを考えながら行動するため、協調性など精神的に伸びてくる部分がスイミングとは違ってきます。
塩素の影響で髪がパサパサになったり、目に炎症が出たりすることがある
プールは衛生面を保つために、水質基準が次のように定められています。
遊離残留塩素濃度は、0.4mg/L以上であること、また、1.0mg/L以下であることが望ましいこと
(厚生労働省「遊泳プールの衛生基準について」(2007))
塩素の臭いも、結構きついですよね。
スイミングの後は必ずシャワーに浴びること、目が塩素でかゆそうなら目薬を用意しておくなど、家庭でもある程度対応できるようにしておきましょう。
子どもに水泳の習い事をさせたい!と思ったらチェックしておくこと
子どもに水泳を習わせる時に気になるポイントは、「いつから始めるのか」「月謝はいくらかかるのか」といったもの。
スイミングをを子どもに習わせる前に、保護者がある程度知っておきたいことをまとめました。
生後4ヶ月から習えるベビースイミング
大手のスポーツクラブ「コナミ」のスイミングスクールには、生後4ヶ月から2歳までの子どもが通える「ベビースイミング」コースがあります。
ベビースイミングの目的は、泳ぎ方を学ぶというより、水中で親子スキンシップを楽しむこと、水に慣れることです。
ベビースイミングのメリットを挙げました。
- 子どもが水を怖がりにくくなる
- レッスン中に親子のスキンシップがとれる
- 生活のリズムが整う
- ママ友ができる
3歳でスイミングは早い?
では、子ども一人でスイミングを習い始めるなら、いつ頃からが良いのでしょうか。
筆者自身は小学1年生から始めたのですが、自分よりもずっと上のクラスに年下の子がいて、びっくりした記憶があります。
聞いたところ、その子は3歳からスイミングスクールに通っていたそうです。
(ベビースイミングは3歳未満の子を対象にすることが多い)
早く始めれば、後から始めた子よりも上のクラスにいるのは当然ですが、上達や飲み込みが早く、羨ましかった記憶があります。
少し専門的な話になりますが、子どもの神経系が著しく発達するのは、4歳から8歳(プレ・ゴールデンエイジ)に掛けてです。
その頃に目一杯身体を動かして、色々な動きを経験することで、その後の運動能力を高めることに繋がってくると言われています。
関連記事:ゴールデンエイジとは?
そのため、スイミングを習い始めるなら、3歳は決して早すぎることはありません。むしろ、始めるタイミングに相応しい年齢でしょう。
習い始めの頃は泣きじゃくってしまうなど、親が心配になってしまうこともありますが、何回か通っているうちにだんだん慣れてきて、すっかり「プールとお友達」になれるので、安心してください。
月謝や初期費用はどれくらいかかる?
関東地域で利用者の多い大手スイミングスクールである、セントラルウェルネスクラブと、JSSスイミングスクールを、東京都葛飾区で利用した場合の月謝や初期費用を比較しました。
ウェルネスクラブ 青砥 | セントラルスイミングスクール 立石 | JSS|
幼児 週1回 小・中学生 週1回 | 9,130円 | 9,350円 |
幼児 週2回 小・中学生 週2回 | 13,475円 | 11,550円 |
入会金 | 月会費2ヶ月分 水着等5,000円~7,000円 | 入会金4,400円 水着等7,000円~8,000円 |
週1回は約10,000円、2回になると約1万2千円前後というのが相場のようです。
スイミングを始めるとなると、指定バッグ(送迎バスから見つけやすい)や水着などの購入もあるので、初期費用は約2万円くらい掛かるとみておいたほうが良いでしょう。
スイミングを習う目的は?
スイミングを習い始める前に、目的をしっかり決めておきましょう。
子どもの年齢やなりたい目標によって違ってきますが、ある程度「こんなふうになりたい」というのがあるだけでも、取り組み方が変わってきます。
- 水泳をすることで心肺機能があがり喘息予防になる
- 学校では泳ぎ方を習わないから、4泳法をマスターするまで習わせたい
- 水泳選手を目指して欲しい
- いざという時に自分の身を守れるようになって欲しい
- 丈夫な体を作って欲しい
水泳選手を目指すのであれば、かなり泳ぎ込むことが必要です。競泳選手を目指すコースは、基本的にほぼ毎日スイミングスクールに通うことになります。(料金は選手コースになるので高くなる)
ただ、身体づくりのためにといった理由であれば週1回から2回程度で良さそうです。
習う目的や各自のスケジュール、子どものやる気を見ながら、レッスンを増やしたり、減らしたりして調整するようにしてください。
いつまで続けるかは進学費用など他の教育費とのバランスで決めて
子どもが「バタフライが泳げるようになるまで」など、目的に向かって泳いでいる間はいいのですが、ある程度泳げるようになったら、いつまで続けさせるべきか悩みますよね。
習い事を辞めるタイミングとしては、中学や高校受験、部活動などがきっかけになることが多いです。
各家庭では、支出を把握し、やりくりする必要があります。
支出のバランスが取れなそうな場合は、優先順位を考慮したうえで、続けるものと続けないものを決めなくてはなりません。
水泳の優先順位が低い場合は、終了することも選択肢の一つとなるでしょう。
まとめ|スイミングはメリットや効果がいっぱい!一度はやる価値あり
スイミングのメリット・デメリットや費用などについてまとめてきました。
筆者は6年間スイミングスクールに通った結果、「走るのは苦手でも泳ぐのは得意なんだ」と、自分に自信を持てるようになりました。
それに、どうやったら速くなるのかを自分なりに考えて、コーチにアドバイスをもらうなど、向上心をもつこと、目標に向かって努力することを学ぶことができたと思います。
スイミングは子どもそれぞれが自分の目的をもって取り組めることなど、とにかくメリットが多いです。
どのスポーツを習うか悩んでいるのであれば、一度スイミングをやってみる価値は十分にあります。
スイミングコースは、スポーツクラブや市営プールなど、習うにも色々な方法はあるので、まずは雰囲気を確かめるためにも、レッスンを体験しにいってみることをおすすめします。