最近、企業や組織だけでなく、教育の場でもの中で注目されている「SQ」という指数があります。
SQは社会的指数、または生き方の知能指数と呼ばれ、子育ての中で伸ばしてあげたい子どもの能力のひとつです。
今回はSQとは何か、SQが高い子の特徴、SQを高めるために家庭でできることをまとめました。
SQ(社会的指数)とは?
SQ(Social Intelligence Quotient)は、日本語で社会的指数と表現されます。
社会性の高さやコミュニケーション能力、他者を理解して意欲や能力を引き出せるか、周囲にいい影響を与えられるかというような、社会で役立つ力を示す指数です。
EQ(こころの知能指数)の概念を広めた心理学者のダニエル・ゴールマンが、脳神経科学の視点から、リーダーに必要な力としてEQを発展させることで生み出したのが、SQです。
ゴールマンによると、SQが発達しているリーダーほど、組織のメンバーの意欲や能力を引き出すことができており、結果的にいい業績を残していたそうです。
そのため、近年では優れたリーダーが持っている能力として、企業や組織で必要とされている力と言われるようになりました。
IQとSQの違い
SQは、よく聞く「IQ」と字面が似ていても、全く別の能力を示すものです。
IQ(Intelligence Quotient)とは、知能指数のことで、情報処理能力や頭の回転の速さ、記憶力や理解力など、簡単に言えば個人の頭の良さを数値化したもの。
学校のテストでいい成績を残したり、将来研究者になったりする人にはIQが高い傾向があります。
一方で、SQは他者との関わりの中で発揮される能力なので、個人の勉強ができるかどうかはあまり関係しません。
あくまでもSQは、周囲と円滑なコミュニケーションをとれるか、他人を思いやれるか、周りにいい影響を与えられるか、集団の中で必要とされる力です。
そして、IQが高いからといって、必ずしもSQも高くなるとは限りません。
例えば個人で取り組む仕事は上手くこなせても、人間関係がうまく築けないという人もいますよね。
逆に、学校の勉強が苦手でも社会に出てコミュニケーション能力や対人スキルを活かして出世する人もいます。
EQやAQとの違い
IQやSQだけでなく、他にもEQやAQという指数があります。
EQ(Emotional Intelligence Quotient)
EQ(Emotional Intelligence Quotient)は「こころの知能指数」と呼ばれ、SQの土台になっている概念です。
EQが高い人というのは、自分の感情を理解・抑制しながら調和した人間関係を築ける人で、いわばコミュニケーション能力が高い人を言います。
人の行動や言動は、気分や環境に左右されがちですが、EQが高い人は、怒りやストレスを感じたときに周囲に八つ当たりをすることはありません。うまく感情をコントロールします。
このEQに脳科学の観点やリーダー性を足したものが、SQです。
関連:【非認知能力】心の知能指数「EQ」とは?「IQ」との違いや幼児期に高める方法を解説
AQ(Adversity Quotient)
AQ(Adversity Quotient)は、逆境力指数です。
困難や逆境に陥ったときに耐えられるか、という心の強さを表しています。
大きな問題に直面しても、逃げることなく前向きに取り組めるか、つまり、ピンチをチャンスと捉えられる力もそうです。
AQの高い子は、簡単にあきらめず、何か他の手を使って困難を乗り越えようと努力します。
SQの高い子がもつ特徴
企業や組織に属していれば「SQが高い人」のイメージは持ちやすいですが、子どもの場合で考えるとどうでしょうか。
子どもには、リーダーシップを発揮する子もいれば、おとなしい子もいます。
SQが高い子どもの特徴をまとめてみました。
- 自分一人でやろうとせず、周囲に助けを求めることができる
- 自分の考えや思いを的確に伝えることができる
- 目標を持って日々過ごすことができる
一つずつ確認していきましょう。
自分一人でやろうとせず、周囲に助けを求めることができる
SQが高い子は、困ったときや何かを成し遂げるときに、周囲の力を借りたり相談したりできる傾向にあります。
例えば休み時間に教室を掃除してほしいと先生に頼まれたとき、どうするでしょうか。
時間をかけてでも一人でやる子と、周囲に声をかけてみんなでやる子がいますよね。
一人でやると時間がかかりますし、休み時間がつぶれたり時間内に終わらなかったりする可能性もあるでしょう。
一方で、周囲に声をかけてやれば短時間で終わり、残りの休み時間もみんなで遊べます。
SQが高い子は、後者のように必要に応じて周囲に相談したり助けを求めたりできるので、スムーズに物事を進められることが多いのです。
自分の考えや思いを的確に伝えることができる
SQが高い子の特徴として、周囲を思いやりながら自分の気持ちを表現できる点も挙げられます。
相手に自分の気持ちを伝えるのは難しいですよね。
SQが低いと、周囲の気持ちを考えられずに自己主張しすぎてけんかをしてしまったり、逆に遠慮しすぎて何も伝えられなかったりしてしまいます。
SQが高い子は周りの意見を尊重しつつ、自分の意見や考え方を伝えられるので、良好な人間関係を築くことができます。
自分の意見を伝えられるという力は、先ほどの人にお願いをできるといった力にもつながってきますね。
目標を持って日々過ごすことができる
夢や目標を持てることも、実はSQの高い子の特徴です。
目標を持つことで、達成するための努力を学び日々を充実したものにできます。
例えば「走る」だけでも、目標がなく誰かに指示されるだけでは、ただ苦しく途中で嫌になってしまいます。
達成感もなく、やらされたというネガティブな気持ちだけが残り、新たな目標を立てることもできませんね。
一方で、「30分以内にゴールしよう」といった目標がある方が頑張れるものです。
SQの高い子を育てるために家庭でできること
社会で生きる上で必要な力とも言えるSQは、幼児期からの経験で育むことができます。
SQを高めることに繋がる取り組みについて、いくつか紹介します。
人との関わりをもてるように習い事やサークルなどに参加する
習い事やサークルなど、積極的に子どもが人と出会える機会を増やしていきましょう。
以前は近所や地域との繋がり、親せきの集まりなど、様々な世代や背景を持った人と関わる機会があり、その中で人間関係の築き方を学べたものですが、最近では難しいですよね。
核家族化が進んだことで、子どもが関わるのは家族とクラスメイトだけ、という家庭も少なくありません。
人と関わる機会が少ないほど、SQを高める機会も失っていることになります。
地域のイベントに足を運ぶ、習い事でクラスメイト以外の子と友達になるなど、より多くの人と出会いコミュニケーションの取り方を学ぶ場を作っていきましょう。
家事のお手伝いなど役割を与える
家族の中で子どもに役割を与えることも、SQを高めるいいチャンスです。
なぜなら、自分の役割を全うすることで得られる達成感や、自分が誰かの役に立つことを知ることができるから。
家族は組織の最小単位とも言われているように、家族の中で役割を持つことは、社会に出たときに責任をもって行動するためのトレーニングにもなります。
例えば、リビングの掃除を子どもの担当にして、責任をもってやらせてみるのもいいでしょう。
できた日には、「あなたのおかげで助かったよ」と子どもの行動が家族の役に立ったことを言葉にして表すことで、子どもは自分の行動が組織の中でどのような役割をしたのかを学べます。
たくさん愛情を注ぎ、褒める
SQの高い子になってほしいのであれば、子どもに惜しみなく愛情を注ぎましょう。
赤ちゃんや子どもは、お母さんや周囲の大人からコミュニケーションを学んでいきますよね。
たくさん愛情を注がれて笑いかけてもらった子は、同じように他者に対しても笑いかけて信頼関係を築こうとします。
また子どもが親から愛情を受けていると感じられることで、幼稚園や保育園、友達の家など外でのコミュニケーションに自信をもてます。
日頃から子どもを褒めたり、「あなたの味方だよ」と言葉にして伝えたりして、子どもの自己肯定感を高めてあげてください。
まとめ|SQを高めるには、人との関わり・役割・愛が大切
SQの概要や高い子の特徴、幼児期からSQを高めていくための方法について紹介してきました。
SQに関するポイントを整理すると、次の通りです。
- SQはEQ+脳科学の観点+リーダー性
- IQが高くてもSQが高くなるとは限らない
- SQを高めるには、人と関わること、家庭の中で役割を与えること、愛情を注ぐことが大切
SQは企業や組織でよく使われる指標ですが、大人になってからいきなり高めるのは難しいもの。できれば子どものうちからコツコツと高めていきたいですよね。
SQを高めるなら、まずはEQを高めることを意識しましょう。