おうち英語とは、自宅で行う英語教育のことです。
以前は、英会話教室に通うのが主流でしたが、スマホやインターネットの普及で、家庭でも英語学習を行いやすい環境が整ってきているため、おうち英語を選ぶ人が増えています。
親が子どもに英語教育を行うと聞くと、なんだかたいそうなことのように聞こえますが、親が英語を話せなくても、教材やオンラインレッスンをうまく使えば、そう難しいことではありません。
そこで今回は、失敗しないおうち英語の進め方について紹介します。
おうち英語の進め方
おうち英語でよく行われているのが、英語のかけ流しや、絵本の読み聞かせ、フラッシュカード、こども向けのDVDを見せるといったものです。
それぞれの学習を始めるのに適した年齢や進め方、学習することで得られる効果について見ていきましょう。
英語の音楽をかけ流しにする
おうち英語の代表格と言われるのが、英語のかけ流しです。
赤ちゃんは感覚器官の中でも視力と聴力の発達が著しく、おなかにいる時から1歳頃に掛けて少しずつ大人の聴力に近付いていくことが分かっています。
そのため、外界の音を聞き分けられるようになってくる、生後半年くらいから英語の音楽などをかけ流すようにすると良いでしょう。
言語を聞くことで赤ちゃんはその言葉を母国語として認識し、どんどんインプットしていきます。
ただ、多くの家庭において、赤ちゃんに話しかける言葉や、家族の日常会話は日本語です。
ですから、日本語の語彙と同じくらいの英語をかけ流さないと、赤ちゃんは英語を言語として認識せず、日本語以外の雑音として処理してしまいます。
かけ流す時の時間は、1日5分程度から3時間程度など、家庭によって取り組みはさまざまです。
子どもをバイリンガルに育てたいのであれば、毎日1時間以上はかけ流しを行うようにしましょう。
英語の絵本やDVDを図書館で借りたり、フリマアプリで手に入れたりする
英語のかけ流しを毎日続けていくと、子どもは英語の語彙を増やすことができますし、英語の音を聞き取ることができるようになっていきます。
1歳くらいになったら、英語の音と意味を結びつけるために、英語の絵本やDVDを利用するのがおすすめです。
最近の英語絵本は音声が聞けるものも多いので、親が英語を話せなくても大丈夫。新品を購入しなくても、メルカリなどフリマアプリを利用すると案外安く手に入れることもできます。
なお、子どもは3歳以上になると、理解できる語彙数が急激に増え、自分の経験と照らし合わせながら想像力を働かせるようになるので、年齢に合わせて英語絵本のレベルも上げていくと良いでしょう。
子どもの英語学習に取り入れたい!英語絵本の多読にはどんな効果がある?
英語のオンラインスクールを始める
かけ流しや絵本、DVDはインプットには向いていますが、発音や会話といったアウトプットには不向きです。
いくら言葉をインプットしても、記憶に定着させるにはアウトプットする必要があります。
そこで利用したいのが、英語のオンラインスクールです。
英会話教室だと、曜日や時間が決まっていて、送迎もあって続けるのもなかなか大変ですが、オンラインスクールであれば、そういった煩わしさがありません。
オンラインレッスンを始める目安は4歳頃から。この年齢になると20分程度の集中力がついてくるため、パソコンたタブレットの画面越しであっても、レッスンを受けられます。
2歳や3歳だと、5分も経たないうちに飽きてしまうので、レッスンは教室での対面のほうが良さそうです。
ちなみに、子ども向けのオンラインの英会話スクールを半年続けた保護者に話を聞いてみると、ある程度手ごたえを感じたと言います。
オンラインスクールを利用したとしても、1か月程度ですぐに英語が話せるようになるわけではありませんが、専門の講師が指導してくれる場があると、学習も進めやすいですね。
子ども向けオンライン英会話のおすすめランキング!後悔しないオンラインレッスンの選び方
洋書の読書タイムを設ける
語彙力が増えてきて、一人で読書ができる年齢になったら、イラストの無い洋書にもトライしたいですね。
本を読むことは、子どもの言語発達に欠かせないものです。絵本作家でもあり、漫画家でもあるアメリカ人のDr. Seuss(ドクター・スース)の有名な言葉があります。
The more that you read, the things you will know, The more that you learn, the more places you’ll go.
(読書をすればするほど、知識が増える。知れば知るほど、行き先が増える。)
日本語の本を読むと日本の文化や慣習を自然と学んでいくものですが、洋書を読めば、海外の文化に触れることができるため、語彙力だけでなくグローバルな視点や知識を養うことが可能です。
ただ、どんな本でも良いというわけではありません。できるだけ辞書を使わないような、子どもの語彙力に合った本を選びましょう。
目安は、知らない単語が数ページに1つあるかどうかくらいのレベルです。
SSS英語多読研究会流の多読法でも、読書を楽しむために極力、辞書のいらない本を勧めていて、辞書を引くのは多くても1冊につき3語までといった目安を公開しています。
最初は、簡単すぎるかもしれないレベルの本を選ぶようにしましょう。
一度読んだ本は、期間を空けてもう一度読んでみるのがおすすめです。
ストーリーが記憶に薄っすらと残っていて、語彙力も増えていると、以前よりも楽しんでスラスラと読めるようになっていることを実感できます。
おうち英語に失敗してしまった具体例を紹介
かけ流しと絵本、DVD、オンラインスクールの利用など、口で言うのも簡単ですが、実際やってみるとなかなかうまくいかないといった場面に遭遇します。
英語学習は長期戦です。おうち英語の失敗例にはどのようなものがあるのか、いくつか確認していきましょう。
英語学習を子どもに強制してしまった
そう思って、子どもに英語の学習を強制してしまっていないでしょうか。
子どもが英語を学ぶことを楽しんでいればいいのですが、英語学習させることを意識しすぎて、嫌がっている子どもに無理強いさせるのは違います。
そのまま強制し続ければ、ますます英語が嫌いになっていく可能性は高いです。
こういった、英語に拒否反応が出てしまう子どもの話がよく聞かれます。
英語学習がうまくいかなくなったら、子どもの好きなことからアプローチするようにしてみましょう。
例えば、サッカーが好きな子どもは、kick、goal、shoot、on the ball、off the ball、passといった言葉であれば、すぐに覚えてしまうと思います。
サッカー選手が英語で話している動画を見ることで、それがモチベーションになるかもしれません。
子どもが「これは面白そうだ」「自分にとって意味がある」と感じられるように、あえて真正面から英語に向き合わせないようにすると、英語嫌いが解消されることがあります。
話せればいいと思って発音はあまり気にしなかった
英語は、日本語にはない音がいくつもあります。これをPhonics(フォニックス)といい、英語圏の子どもたちはこの音を正確に綴る訓練をするそうです。
例えば、パンは英語でBreadですが、これは4つの音でできており、音でこの単語を区切るならば、B-r-ea-dとなります。
その中のeaの音は、eの第一の音であるため(あえてカタカタで表現するならエという音)、子どもは、Bredと綴ってしまいがちです。
しかし、先生は音を綴れていることを褒めるので、英語の音は大事なものとされています。
一方、いきなり英語を学ぶことになる場合は、日本語の「エ」「ア」といったカタカナで音を当てはめてしまい、英語の音を身に付けられず、発音に悩んでしまうわけです。
ある程度会話ができれば発音は気にしなくてもいいという人もいますが、発音が悪いと相手に通じないこともあるので、気にしておきたいポイントですね。
とは言え、日本人が家庭で英語教育をやろうとしているわけですから、発音を正しく教えようと言われても困るのは当然です。
そんな時は無理をせず、CDなどのオーディオを沢山活用して、ネイティブの発音を利用していきましょう。
英語を嫌がるようになったので英語学習の時間を取らなくなった
どんな子どもでも、どんなに楽しく工夫しておうち英語をやっていても、子どもが英語を嫌がる時期はやってくると言われています。そんなときは、一呼吸置くことが大切です。
無理強いをしても、良い結果は生まれません。一呼吸置くことは、全く英語の時間を取らないということではなく、そんな時期でも、次のようにできることがあるはずです。
- 子どもの話を聞いて、嫌がる理由を知り、対応する
- 音楽を何気なくかけておく
- 好きな洋画を観る
- 好きなことを取り入れ、その内容の英語に触れてみる
何気なく、子どもにプレッシャーを与えずに、少しずつおうち英語を続けてみましょう。さりげなくかけ流しだけでも、少しずつでも長く続けていくことが大事です。
「2000時間インプット」が目標になってしまい、やりっぱなしになった
「2,000時間インプット」とは、子どもが言語を習得する際に、最低必要となる時間のことを言います。
子どもが2歳頃に意味のある発語をするとした場合に、赤ちゃんが1日3時間分言語を吸収しているとすると、3時間×2年で、合計2,190時間となることから、これが目安となっているわけです。
ただ、これが母語以外の第二言語にも当てはまるかと言われると、はっきりとした根拠はまだありません。
日本語を習得するだけでも、筋道を立ててしっかり話せるようになるには、ある程度の訓練が必要であることを考えると、英語学習の際に2,000時間という数字にこだわりすぎないほうが良いでしょう。
それでも、子どもを英語学習のスタート地点に連れていってくれるはずですし、ある程度英語学習の基礎固めをすることは可能です。
2,000時間をクリアするために、かけ流しをするだけ、オンラインスクールを受けるだけといったやりっぱなしになることのないよう、子どもにとってプラスになる時間にしたいですね。
親が英語を話せなくても大丈夫?
おうち英語を行うにあたって、親が英語を話せなくても大丈夫なのか、心配になったり、疑問に思ったりする方もいるでしょう。
発音を気にするなら英語絵本の読み聞かせなどは避けるのが無難ですが、たとえ親が英語をうまく話せなくても、おうち英語を進めることは可能です。
最後に、おうち英語におすすめの英語教材をいくつか紹介します。
【パルキッズプリスクーラー】かけ流しとオンラインでバランスが取れる
(引用:パルキッズ公式)
パルキッズプリスクーラーは、0歳から8歳を対象にしていて、初めて英語学習を始める子ども向けの教材です。
CDやDVDを使って大量の日常英会話をインプットすることで、英語を聴く力を育てたり、語彙力を増やしたりすることができます。
パルキッズプリスクーラーを通して2,000語以上の語彙を習得することができるため、バイリンガル教育を考えている方にもおすすめです。
パルキッズの特徴は、CDなどによるかけ流しだけでなく、1日3~5分のオンラインレッスンがあること。これにより、インプットとアウトプットのバランスが取れます。
教材はCDやDVD、オンラインレッスン、テキストブックなどが含まれていて、84,700円です。
パルキッズプリスクーラーとアイキャンリードの教材内容や費用まとめ。
【七田式英語 7+BILINGUAL】イラスト集とタッチペンで発音もばっちり
(引用:七田式英語7+BILINGUAL公式)
とにかく英語に楽しく触れてほしいなら、七田式英語の、7+BILINGUAL(セブンプラスバイリンガル)がおすすめです。
カラフルなイラスト集が子どもの目を引き、タッチペンを使いながら意味と音を確実に結び付けていくことができます。
タッチペンを使って子どもが一人でもどんどん教材を使っていけるので、親が英語を話せなくても大丈夫です。
【七田式英語】右脳の活性化を重視した英語教材・幼児英語コースの料金や内容まとめ
こどもちゃれんじEnglsh
こどもちゃれんじと言えば、しまじろうですよね。
長年通信教材を出してきたベネッセだからこそ、こどもちゃれんじとEnglishでは、子どもが楽しく英語に親しめるように、しまじろうのDVDや玩具などの教材があります。
こどもちゃれんじEnglishは1~2歳のぷちから始めることができるので、バイリンガルにしたいわけではないけれど、ある程度英語を子どもに触れさせてあげたいという人におすすめ。
会員価格であれば1か月あたり約3,000円から利用できるので、こどもちゃれんじと併用するのも良さそうです。
こどもチャレンジぷちEnglish(1~2歳)の料金や特徴、口コミを紹介
まとめ:おうち英語は子どもに合うものをいくつも探してみて
おうち英語の進め方や失敗例、おすすめの英語教材について紹介してきました。
家庭で行う学習は、甘えさせてやりたい一方で、「嫌がっていても何とかやらせないと」といった使命感で、子どもに学習を押し付けてしまうことが多々あります。
一番いいのは、学習することを生活の一部として、自然と捉えてくれるようにすることです。
おうち英語に使える教材はたくさんありますが、世間で評判が良くても、子どもに合うかどうかは別。資料請求でサンプルをもらえるところが多いので、まずはいくつも試してみるようにすると良いでしょう。