子どもの数が少ないことや、知育や育脳といった教育熱の高まりもあり、幼児期から検定の受検を考える人も多いようです。
一方で「幼児から検定を受けるのは少し早いのでは?」と感じる方もいるでしょう。
しかし、検定に向けて学習に取り組んだり、合格することで自信を持つきっかけになったりするなど、子どもの成長にいい影響を与えるのも確かです。
そこで今回は、幼児期に受検できる検定の特徴や料金、問題数や、受検のメリット・注意点をまとめました。
幼児から受けられる検定があるって知ってた?
日本には5,000もの検定があると言われており、なかには幼児から受検できるものがあります。
今回は、子どもの学力向上に役立つと人気がある4つの検定についてまとめました。
- 算数検定
- 漢字検定
- 英検ジュニア
- 思考力検定
算数検定(かず・かたち検定、11級)
算数検定とは、日本数学検定協会が行っている検定で、実用数学技能検定のひとつです。
その中でも幼児期が受検しやすいものとして、かず・かたち検定があります。
【算数検定】 (かず・かたち検定) | |
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内容 | 繰り上がり・繰り下がりのない足し算・引き算 積み木の数の理解 ○△□の理解 等 |
出題数 | 15問 |
合格基準 | 10問 |
検定時間 | 40分 |
検定料 | 2.700円 |
実施時期 | 4月・7月 ・10月または11月 |
受検場所 | 自宅 |
かず・かたち検定は幼児向けに作られたもので、シルバースターとゴールドスターの2つのランクに分かれています。
シルバースターでは5までの数の理解、ゴールドスターでは10までの数の理解となっており、ゴールドスターの方が難易度は高いです。
学研教育総合研究所の調査によると、算数は小学生が嫌いな科目で7年続けて1位となっていて、苦手意識を持ちやすい科目。
検定に向けた学習を通して、好きで得意な科目になるといいですね。
関連:1から10まで数を言えても数えるのはまた別?数の概念を子どもに理解してもらえる教え方って?
漢字検定
「漢検」の愛称で親しまれている日本語漢字能力検定は、幼児から102歳の方まで幅広い世代が受けている検定です。
日本漢字能力検定協会が実施しており、小学校1年生レベルの10級から大学・一般レベルの1級が設けられています。
未就学児の場合、まずは10級から始めるのがおすすめです。
【漢字検定】 (10級) | |
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内容 | 小学1年生で習う80字から出題 |
出題数 | 約80問 |
合格基準 | 150満点中80%程度 |
検定時間 | 40分 |
検定料 | 2.500円 |
実施時期 | 2月・6月・10月 |
受検場所 | 指定会場 |
10級では小学校1年生で習う80字から出題され、漢字を理解して正しく使えるかが問われます。
漢字検定の魅力は、会話や文章の中で正しい日本語が使える能力を身につけられる内容であること。
漢字の書き取りテストのようにただ漢字を暗記するだけではないので、漢字の意味が分かるようになり、言葉の理解を深めて読解力も高めることができます。
参考:日本漢字能力検定協会
関連:「石井式漢字教育」とは?幼児期はひらがなよりも漢字学習がいい理由って?漢字学習教材や定着させる方法も紹介
英検ジュニア(Jr.)
英検ジュニア(Jr.)は、子どもが英語に親しみ、外国の文化を理解できることを目指した検定です。
1994年に児童英検という名前で始まり、2015年に英検ジュニアに改名されました。
「英検」のイメージでいくと勘違いしやすいのですが、英検ジュニアには「合格」「不合格」といった結果が出されることがありません。
その代わりに、ブロンズ・シルバー・ゴールドという3つのグレードでレベル別に受検し、その正答率もとに少しずつステップアップしていきます。
- ブロンズ(BRONZE)…家庭で学習している未就学児の児童、または小学校低学年程度
- シルバー(SILVER)…ブロンズの正解率80%以上の児童、または小学校中学年程度
- ゴールド(GOLD)…シルバーの正解率80%以上の児童、または小学校高学年程度
試験内容や検定料はランクによって異なるので確認しておきましょう。
ブロンズ | シルバー | ゴールド | |
出題数 | 約40問 | 約45問 | 約50問 |
検定時間 | 約30分 | 約35分 | 約45分 |
検定料 ペーパー(P) オンライン(O) | P:2,500円 O:2,300円 | P:2,700円 O:2,500円 | P:2,900円 O:2,700円 |
実施時期 | P:年3クール O:いつでも | ||
受検場所 | P:グループ会場(団体申込) O:自宅 |
(税込表示)
英検ジュニアは、オンラインを選ぶことで、いつでも場所を問わず試験を受けられます。
おうち英語や英会話教室での学習をしている子は多いですが、どれくらい英語力が身に付いたのかを客観的に見るのはなかなか難しいものです。力試しに受検してみるのも良いでしょう。
参考:英検ジュニア
思考力検定
思考力検定は、国際算数・数学能力検定協会が行っている検定で、算数や数学の問題を通じて子どもが身につけている思考力を測ります。
検定は、小学校1年~2年生レベルの10級から、高校1年生レベルの準2級まで。
幼児でも目指せる10級の内容について確認しておきましょう。
【思考力検定】 (10級) | |
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内容 | 小学1~2年生程度 簡単な情報の中から必要なものを選び出す 思考錯誤しながら考える 平面の図形を捉える |
出題数 | ー |
合格基準 | 65%程度 |
検定時間 | 45分 |
検定料 | 2,100円 |
実施時期 | 2月・6月・11月 |
受検場所 | 教室(塾)受検 自宅受検 |
一見、算数検定(かず・かたち検定)と似ているようですが、思考力検定では情報を使いこなせるか、道筋を立てて答えを導き出せるかが問われています。
(引用:思考力検定)
参考:思考力検定
幼児検定を受けるメリット
幼児期から検定を受けることで次のようなメリットがあります。
- 試験に向けて目標をもって学習できる
- 合格することで自信がつく
- 学んだことを証に残せる
試験に向けて目標をもって学習できる
「検定合格」「正答率を上げる」という目標があることで、前向きにこつこつと学習に取り組めるようになります。
幼稚園や保育園ではテストや試験が少ないため、のびのびと好きなように学べる反面、目標を持って学習に取り組むという機会が少ないのも事実です。
ですから、検定は、子どもに学習目標を意識させるいい経験になります。
幼児期から目標を持って学ぶ習慣がつけば、小学校以降もテストや試験などの目標ができたときにスムーズに学習が進められますね。
合格することで自信がつく
合格という成功体験を積むことで、子どもが自信をもてるようになります。
幼児期に自信を持ち達成感を味わうことは、成長する上でも必要な経験です。
努力して結果が出たという経験があることで、他のことに挑戦しようとするとき「あのとき成功できたから次もやってみよう」とチャレンジする意欲が湧きます。
なかなか自分に自信が持てないという子は、検定が自信をもつきっかけになるかもしれませんね。
学んだことを証に残せる
幼児期の学習は成果が分かりにくいことが多いですが、検定を活用することで学んだ結果をかたちにできます。
子どもにとって賞状や合格証は、自分が頑張った証として大切なものになるでしょうし、頑張ってきた結果が目に見えると、次の学習へのモチベーションも上がるはずです。
子どもだけではなく、親も「子どもがこんなに頑張ったんだ」と再認識できる機会になります。
幼児期に検定を受ける時の注意点
子どもの目標になり、学習のモチベーションにもつながる検定ですが、挑戦する際は気を付けておきたいこともあります。
- 不合格になるとやる気を失ってしまう可能性も
- 1回の挑戦で目標のレベルや合格を手に入れるわけではない
- テキスト代や受検料が何かと掛かる
- 長時間椅子に座っていられるか分からない
- 親だけがやる気になっても、子どもがついていけない
不合格になるとやる気を失ってしまう可能性も
検定結果が不合格と分かった途端、どんなに頑張っていたことでも、一気にやる気が無くなってしまう可能性があります。
英才教育を受けているような特別な場合を除いて、幼児期は試験を受けることや合否を付けられるような経験は割と少なめ。
悪い結果が出ると、大人が思っている以上にショックを受けてしまうかもしれません。
子どもに「絶対に合格しないと」とプレッシャーを感じさせないよう、結果にはあまりこだわらないことが大切です。
1回の挑戦で目標のレベルや合格を手に入れるわけではない
検定は、本人がどんなに努力しても不合格となってしまうことがあります。
みんなが合格できるわけではないことは、事前に子どもに伝えておくといいでしょう。
多くの検定は年に数回実施されているため、数ヶ月後には再挑戦できます。
大切なのは1回の挑戦で諦めずに、失敗しても挑戦しようという気持ちです。
不合格だった場合は「苦手な問題が分かった」と前向きに捉えて、解けなかった問題を一緒に復習するなどして次の合格に向けたフォローをしていくといいですね。
テキスト代や受検料が何かと掛かる
検定を受ける際は、教材や受検料など費用がかかってしまいます。
例えば英検ジュニアの場合、参考書は1冊1,500~2,000円ほど、試験料がブロンズのペーパーテストで2,500円と、最低でも4,000円ほどの費用が必要です。
さらに対策をしようと複数の参考書や問題集を購入することもあるでしょう。
何度も挑戦する場合は当然ですが、検定を受けるごとに受検費用もかかってしまいます。
長時間椅子に座っていられるか分からない
幼児期は椅子に座って学習する習慣が身についていない場合もあり、試験時間中に耐えられず席を立ってしまう可能性があります。
席を立ってしまうのは、試験に慣れていない子であれば仕方のないこと。
試験前に模試を解いてみる、座って学習する機会を増やすなどして、練習しておきましょう。
また、自宅受検ができる検定なら、家庭で親が見守りながら受検ができます。
万が一席を立ってしまっても、自宅での受検なので他の受検者に迷惑がかかることもありません。
関連:子どもの集中力が続かないのはゲームや椅子が原因?集中力をつける方法、集中力を高める遊びや習い事
親だけがやる気になっても、子どもがついていけない
検定を受ける場合は、子どもが「やりたい」と思える検定なのか、子どもに受検したい気持ちがあるのかを確認しましょう。
無理やり受検させてしまうと、思うように結果が出ない、勉強に楽しい思い出が残らず勉強が嫌いになってしまった、ということになりかねません。
幼児向けの検定の多くは、子どもに「学習を楽しんでもらえること」を目指しています。
まずは子どもの意思を尊重して、親子で楽しみながら学習に取り組んでいきましょう。
まとめ|検定試験は目標があれば頑張れる子にぴったり!
幼児でも参加できる検定試験の概要や、幼児期に検定試験を受けるメリット・注意点について確認してきました。
各検定のポイントをまとめると、次の通りです。
【各種検定の内容】
検定 | 内容 |
---|---|
算数検定 (かず・かたち) | 足し算・引き算 積み木の理解 ○△□の理解 |
漢字検定 (10級) | 小学1年生で習う80字 漢字を理解して正しく使う |
英検ジュニア (ブロンズ) | 小学校低学年程度 英語の音やリズムに慣れる リスニング |
思考力検定 (10級) | 小学1年生程度 情報の取捨選択 思考錯誤する力 |
どの検定も年齢制限は特にないため、年中や年長のうちからでも受けられるようになっています。
ただ、何度も不合格になったり、目標の正答率に届かなかったりすると、モチベーションを保つのも大変なので、各公式サイト等で手に入る過去問やプレ試験などを積極的に解くのがおすすめです。
ここで紹介したように、オンラインで受けられる検定が増えています。おうち時間が多い時や、だらけがちな長期休暇にでも利用してみてはいかがでしょうか。
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