受験塾や能力開発系の早期教育、英語教育やプログラミング教育など、近年、幼児を取り巻く教育熱は高まるばかりです。
中には0歳のうちから通える幼児教室も多く、通えそうな教室にとことん体験しにいく、なんて人もいます。
一方で「幼児教室に通ったところで意味がない、無駄」など、否定的な意見をもつ人も少なくありません。
本記事では、幼児教室に否定的な意見を持つ人の理由、幼児教室に対する考え方について、詳しく説明します。
幼児教室に通う意味がない、無駄と言われるのはなぜか
幼児教室に通う意味がない、無駄と言われる理由は、以下の通りです。
【幼児教室が無駄と言われる理由】
- 幼児教室に通っていない子との差が感じられない
- 高い費用を支払っているのにそれに見合う効果があるか分からない
- 家でも取り組めるようなことを授業でもしている
- 子どものやる気や興味が感じられない
ちなみに、私自身は「幼児教室は意味ない・無駄」とは思いません(※「絶対に良い・必要だ」とも思っていません)。
幼児教室に行くことで、家庭ではできない経験を積んだり、先生や子ども同士のコミュニケーションの中から、何か得るものがあるなら、行く価値はあるのかなと思います。
ただ何かを判断する上で、ネガティブな意見を聞くと、かなり参考になるので、以下それぞれの項目について詳しく説明します。
幼児教室に通っていない子との差が感じられないから
そもそも未就学児の時点では、成長段階の個人差もかなり大きいので「同じ年齢の子よりも〇〇ができる」「他の子よりも〇〇な能力がスゴイ」といった明確な差を感じるのは難しい年齢です。
たとえば、音楽教室やスイミング、プログラミング、算盤などの専門的な幼児教室であれば、非日常的なので「明らかに幼児教室に行ったからだ」と思えるかもしれませんが。
一般的な幼児教室でやることといえば、はさみの使い方や文字の書き方など「少し先のことを遊びや学習を通して体験してみる」といった内容で、「日常+α」なことをして過ごします。
いずれにしても、内容が「年齢や経験とともに身に付くこと」だったりするので「幼児教室に行っている子と行っていない子、大して差がない」と感じる人もいるでしょう。
高い費用を支払っているのにそれに見合う効果があるか分からないから
幼児教室に通うとなると、大体年間10万円~20万円くらいかかります。月額だと約10,000円~30,000円といったところでしょうか。
決して安くはない出費ですが、幼児教室に通ったからといって「〇〇ができるようになります/〇〇な力が身に付きます」といった確約はありません。
また、子どもが「以前よりも何かができるようになった」というときも、それが幼児教室のおかげなのか、日常的に身に付いたのか、判断しづらいです。
小学生が塾に通って「学校の勉強が分かるようになった」「テストの点数が上がった」だと、分かりやすいんですけどね。
明確な効果が分からないのに、幼児教室に数か月、数年もお金を払い続けることに対して疑問を感じたり、「1年通ってみたけど、別に意味なかったな」と感じる親もいるでしょう。
家でも取り組めるようなことを授業でもしているから
最近では、ネットで簡単に情報が手に入る便利な時代になりました。
たとえば、SNSなどを見ていると「自宅でリトミック」「自宅でモンテッソーリ教育」を発信している人も多く、学習教材や知育系の玩具などもどんどん発展していて、専門的な教育方法でも簡単に家庭で取り入れることができます。
つまり以前までは、専門機関に行かないと知ることができない教育方法・体験だったものが、ネットの普及により、家庭でもできるようになったのが大きく影響していると思います。
他にも、保育園や幼稚園によっては園の教育方針として取り入れているところがあったり、ピアノや水泳、英語などのレッスンが入るような教育熱心なところもありますよね。
家庭や保育園、幼稚園で既に取り組んでいるとなると、わざわざ幼児教室に行く意味がないと思う人もいるのでしょう。
子どものやる気や興味が感じられないから
「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、子どもは興味のあること・好きなことに関しては、どんどん情報を吸収して、大人がびっくりするような量の知識を身に付けることがあります。
たとえば「国旗に興味があって、5歳児にして全ての国旗を覚えた」「アニメが好きでキャラやセリフを全部覚えている」「車や鉄道が好きで種類を覚えた」など。
しかし、逆に本人のやる気や興味がなければ、どんなに環境の良い幼児教室でも親の熱意があっても意味がありません。どんなにお金をかけても無駄になってしまうのです。
「興味をもつキッカケを作ってあげる」のは良いですが、必要以上に親の考え方や期待を子どもに押し付けてしまうのは、控えたいですね。
幼児教室だけに成果を求めるのは間違っている
実際に幼児教育に通っている人、通ったことがある人に「幼児教室って意味ないよ」と言われると、これから通うことを検討している人は「ドキッ」としますよね。
しかし、それは個人差があることだから、一概に「幼児教室は意味ない」と言い切ることはできないのです。
また、以前幼児教室に通っていて意味がない、無駄だったと感じている人も、幼児教室に対して期待値が高すぎたのかもしれません。
以下、幼児教室を上手く活用するうえで理解しておきたいことについて、説明します。
幼児教室の多くは家庭で学習を継続することが前提
たとえば、小学校受験を検討している人は幼児向けの学習塾通う子も多いですが、学習塾に行くだけで、全てを身に付けることはできません。
実際、幼児教室に通う頻度は週1回~2回くらいで、それ以外の時間の方が長いのですから、当然、幼児教室に通う時間だけで大きな成果を得ようとするのは現実的ではないでしょう。
また、未就学児の時点では、まだまだ記憶力もあまりないので、家庭で学習に取り組む時間を作って反復したり、親が声をかけてあげたりする必要があります。
目に見える「学力」だけが全てではない
近年、世界的にも注目されていることから「非認知能力」という言葉をよく聞くかと思います。
非認知能力とは「好きなものに夢中になる力」「自己肯定感」「自分の気持ちをコントロールする力」「仲間と協力する力」などを指します。
非認知能力は人格形成の土台が作られる幼児期の方が育みやすいと言われていて、幼児期に環境を整えてあげたり、関わり方を工夫することで、非認知能力を身に付けさせてあげることが大切です。
たとえば、友達とごっこ遊び、工作遊び、体を使う遊び、子どもの好きなことをいっぱいさせてあげるなど、こういった関わりのなかで、非認知能力が高まると言われています。
幼児教室のなかには、この非認知能力を育ててくれる教室もあり、保育園や幼稚園、家庭に加えて幼児教室に通うことで、より効果的に身に付けることができます。
長期的に見れば通って良かったことが見えてくることもある
幼児教室に通っている時は「どうなんだろう」と思っていても、あとで振り返ったときに「あのとき幼児教室に通わせていて良かった」と見えてくることもあります。
家庭によって親によって、それぞれ教育方針が違って当たり前ですから「自分の子どもにはこうしてあげたい」と思った選択をして良いのではないでしょうか。
幼児教室が子どもにどのように作用するのか、その時に分からなくても、子どものなかの経験として、必要なパーツになることもありますよ。
家庭によって価値観は様々!自分が良いと思う選択をして良い
幼児教室に関わらず、子どもの教育や習い事、学習環境などいろんなことが言われる時代ですが、子どもを育てるのは親ですから、親元から離れるまでは、親自身が子どもに最善な選択をしてあげましょう。
周りの人や、SNSでいろんな意見があっても、最終的に決めるのは自分自身(そして子ども)です。
幼児教室が必要だと思うなら行ってみる、必要ないと思ったら行かない、自分と子どもにとって後悔のない選択をしましょう。