学生の頃、留学生をホームステイで受け入れている人を見て、いつの間にそんな募集がかかっていたんだろうと不思議に思っていました。
家に外国人が来たら英語の上達もできそうだし、何より楽しそうですよね。
今は留学生に限らず、観光で来る外国人の中にもホームステイを希望している人がたくさんいます。
ではホームステイを受け入れる場合はどうすればいいのでしょうか。
本記事では外国人のホームステイを受け入れる方法や注意点、メリット・デメリットなど詳しく紹介します。
ホームステイを受け入れる方法や流れ
ホームステイを受け入れたいと思っても、一体どこにどうやって申し込めばいいのか想像がつかない人も多いでしょう。
ここではホームステイを受け入れる方法や、流れを紹介します。
ホームステイを受け入れる方法
ホームステイを受け入れる場合、大きく分けて2つの方法があります。
- ホームステイの斡旋団体に申し込む
- ホームステイのマッチングサービスに登録する
留学生を受け入れる場合、学校と提携している公益財団法人などの団体に申し込むのが一般的です。
団体例
- AFS JAPAN
- 日本国際生活体験協会(EIL)
- ヒッポファミリークラブ
一方、「ホームステイのマッチングサービス」に登録して、受け入れるという方法もあります。
マッチングサービス例
- Homing(ホーミング)
- Homii(ホーミー)
マッチングサービスの場合は、学生だけでなく旅行目的で来る社会人を受け入れるケースも多いです。
ホームステイ受け入れの流れ
団体にもよりますが、だいたいのホームステイ受け入れの流れは以下の通りです。
受け入れまでの流れ
- 団体を選んで申し込む
- 団体の各地域の担当者が家庭訪問に来る(希望確認など)
- ゲストの打診を受ける
- 受け入れ決定
- ホームステイ開始
団体が家庭訪問に来た際は、プログラムの受け入れ内容の説明を受けたり、受け入れ側の希望を伝えることができます。
その後、ゲストの打診があり受け入れ可否を決定。
受け入れOKの返事は、ゲスト来日の1カ月前後にすることが多いです。
ホームステイを受け入れる際の条件(報酬など)
ホームステイの受け入れ条件もまた団体によりますが、代表的なのは以下の5つ。
- 家族の同意があること
- ゲストが寝る部屋がある
- 無償(ボランティア)もしくは有償(部屋代や食費など)
- 短期もしくは長期
- 地域は通学範囲内である(学生の場合)
一つずつ見ていきましょう。
一緒に住んでいる家族の同意があること
まずは一緒に住んでいる家族全員が、受け入れに賛成してくれる家庭であることが大前提。
ゲストが来日した後で「受け入れなんて聞いてない」と家族に反対されるというトラブルを回避するため、どの団体でもこれは譲れないようです。
ゲストが寝る部屋がある
ゲストが寝る部屋があるというのも条件の一つ。
同性であれば同室OKだったりしますが、団体によっては「個室じゃないとダメ」と言われるケースもあります。
またゲストが社会人の場合は、「個室希望」と言われることも多いかもしれません。
無償(ボランティア)もしくは有償
ホームステイの受け入れには有償と無償の2つのケースがあります。
公益財団法人などの団体経由で受け入れる場合、部屋代や食事、高熱費は無償(ボランティア)であることがほとんど。
一方マッチングサービス経由の場合は、1泊2,000円の謝礼金をもらえたり、月額料金を自分で設定できたりします。
たとえば「Homii(ホーミー)」では平均月収は5万円。結局赤字にはなりそうですが、副業として始める人もいるようです。
短期もしくは長期
受け入れ期間も団体によって条件は様々です。
留学生のみ受け入れる団体の場合は1週間からということが多いですが、マッチングサービスの場合はゲストによって変わり、たった2日からなんてことも。
長期の場合は長くても1年というところがほとんどです。
地域は通学できる範囲内か(学生の場合)
学生の場合、地域が通学範囲内であるかを判断されます。
家から学校までがかなり遠く、不便な地域の場合は断られるケースも。
初めて来日する人にとって、通学しやすい地域かどうかは大事ですからね。
ホームステイを受け入れるメリット
ここからはホームステイを受け入れるにあたってのメリットを紹介します。
国際交流ができる
ホームステイを受け入れる最大のメリットは国際交流ができること。
英会話を習っているとか国際的な仕事をしている人でない限り、違う国の人と話をする機会なんて滅多にありませんよね。
日本人だけでなく海外に目を向けられるいい機会です。
他の国の文化や考え方を知ることができる
ゲストと交流していく中で、日本以外の国の文化や考え方を知ることができます。
知っている人も多いですが、たとえば日本ではクリスマス=恋人と過ごすというイメージが強いですが、アメリカでは家族で過ごすものというのは有名です。
ゲストを受け入れたおかげで、子供が留学に興味を持ったなんて話もあります。
また日本の良さを改めて実感することもあるかもしれません。
無料で英会話(外国語)を教えてもらえる
ホームステイの受け入れ中に、ゲストの国の言葉を教えてもらえるのも大きなメリット。
しかも生活するうえで必要な実践的な英語を教えてもらえるでしょう。
英会話教室に通うとなれば1カ月1万円近くかかることも多いですが、ゲストに教えてもらうのは無料です。
「〇〇は英語でなんて言うの?」と気軽に聞けますね。
先日、テレビ番組で東大生が「幼少期に親がホームステイの受け入れを頻繁にしていたので、英語を教えてもらえた」と言っていました。
子供の英語教育の一つとして、ホームステイの受け入れをしている家庭もあるようです。
ただあまりにも英語ばかりを教えてもらおうとすると、ゲストに嫌がられることもあるので注意しましょう。
家族との絆が深まることも
ゲストを受け入れることで、家族で食事をする時間が増えたり皆でどこかに行くなど、家族の絆が深まることもあります。
「ゲストが来てくれたおかげで家族仲が良くなった」「家族の団結力を感じた」というのは大きなメリットでしょう。
ホームステイの受け入れは大変?デメリットを紹介
ホームステイを受け入れると聞くと「楽しそう」とも思えますが、実際のところ想像以上に大変だという声も多いです。
ここではデメリットを見ていきましょう。
お金がかかる
ホームステイの受け入れをする場合、食事の支度をしてあげることが条件の一つになっているケースが多いです。
せっかくゲストを受け入れるなら…と腕を振るいたくもなるので、いつもより食費がかさむことは覚悟しておきたいもの。
またお風呂などの光熱費も当然かかります。受け入れ前に計算しておくといいでしょう。
言葉が通じない
ゲストの中には日本が大好きで、たくさん日本語を勉強したという人もまれにいますが、流暢でない人も多いです。
そのため言葉の壁にぶち当たることもしばしば。
翻訳アプリやジェスチャーなどで何とかコミュニケーションを図っている人が多いようです。
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休日の過ごし方に悩む
休日にはゲストをどこに連れて行こうか、もうそろそろ何もしなくていいのかと悩む人はたくさんいます。
短期ホームステイの場合はいくつか候補を絞りだすことができますが、長期になると段々ネタも尽きてきますよね。
ただゲストの中には、たまには一人の時間がほしいと思っている人もいますから、必ずしも休日を一緒に過ごす必要はありません。
「行きたいところがあったら言ってね」と言っておくだけでもいいでしょう。
気疲れでストレスも感じる
受け入れる側は食事の支度や休日の過ごし方、その他にもゲストの様子を伺うなどして、結構なストレスを感じることも。
知り合いが何日か滞在するだけでも結構疲れるのに、他人ともなると当然ですよね。
ただゲストも同じように、何かしらのストレスは感じているはず。
気を張りすぎず、たまには手を抜いて対応しましょう。
ゲストがホームシックになり戸惑うことも
ゲストによっては言葉の壁や、家庭の違いで日本を受け入れるのが難しく、ホームシックになることも。
人によっては「学校へ行きたくない」と悩む場合もあるかもしれません。
そんな時こそ励まして温かい対応をしてあげたいものですが、どうしていいか分からず困った場合は団体に相談しましょう。
中には日本が合わず、早い段階で帰国するといったケースもあります。
ホームステイの受け入れで気をつけること、注意点
ホームステイの受け入れで気をつけること、注意点は以下の通り。
- ハウスルールを決めておく
- 何かをしてあげる前にゲストの希望を確認する
- ゲストの目的を理解してあげる(留学、観光など)
- ゲストに食べ物のアレルギーを確認する
以下で詳しく説明します。
ハウスルールを決めておく
ハウスルールを決めておいて、ゲストに伝えることは大事です。
特に以下の項目を前もって決めておくのがおすすめ。
- お風呂の時間
- 洗濯する曜日
- 門限
- 触ってはいけないもの
- お手伝いしてほしいこと(部屋の掃除機など)
触ってほしくないものには「Don’t touch please.(触らないでください)」などと、紙に書いて貼っておくと分かりやすいかもしれません。
また自分の部屋の掃除などをお願いするという家庭も多いようです。
何かをしてあげる前にゲストの希望を確認する
良かれと思っておもてなしをしているつもりでも、相手にとってみたらただのお節介だったりすることはよくある話。
たとえば家族でどこかに行ったり、家族団らんの時間をあえて設けるということに対して自分は縛られていると感じる人もいます。
知らず知らずのうちにそうならないように、「うちではこうしてあげたいと思うんだけど、どうかな?」と確認しておくといいでしょう。
ゲストの目的を理解してあげる(留学、観光など)
ゲストがなんのために日本に来ているのか、目的を理解してあげることはとても大事。
たとえば日本語を勉強しにきた留学生の場合、こっちが英語ばかりを話そうとしたり、たくさん教えてもらおうするのはNGです。
「日本語を学びに来たのに英語を話すから全然勉強にならない」という声は結構あるそう。
確かに逆の立場で考えてみると、英語を学びに行ったのに日本語ばかり話す環境なら意味がありませんよね。
英語を教えてもらうにしても、ほどほどを意識しましょう。
ゲストに食べ物などのアレルギーを確認する
食べ物や動物などのアレルギーについては、早い段階で確認しておきましょう。
団体から事前に情報をもらえることも多いですが、「言い忘れた」なんてこともあります。
ホームステイの受け入れで用意すると喜ばれるもの
ホームステイの受け入れの際に用意しておくと喜ばれるものは以下のもの。
- 無線LAN(Wi-Fi)
- PC
- 観光ガイドマップ
- スリッパ
- 机
- ノート
もちろんゲストの目的にもよりますが、無理のない範囲で揃えてあげると喜ばれます。
また上記にはないですが、受け入れまでに時間があるのなら、日本の歴史や文化、伝統などを振り返っておくのもおすすめ。
日本の歴史や文化を知りたいという外国人が多いからです。
日本の情報を少しでも提供できたらいいですよね。
ホームステイの受け入れに関するQ&A
ここからは、ホームステイの受け入れに関するよくある質問に答えます。
英語ができないけど受け入れることはできる?
もちろん英語を話せるに越したことはないですが、英語ができなくても受け入れることができます。
アプリなどの翻訳ツールやジェスチャー、筆談などでコミュニケーションをとるのもまた良い経験。
もし不安があるなら、「日本語を少しでも話せる人がいい」と団体に希望を伝えるのもOKです。
共働きだけど受け入れられる?
ゲストが家にいる時間が長い場合は、何かあった時にすぐに対応できる方がいいので、できるだけ家に人がいる方が望ましいのは確か。
ただ日中は学校に通うという学生であれば、共働きでも受け入れOKだったり、長期滞在ならゲストもそのうちに日本に慣れてくるのでOKと言われることが多いです。
団体が提示する条件にもよるので確認してみましょう。
食事は何を用意すればいい?
日本に来たからといって和食を食べたいという人ばかりではないので、最初の段階で食べ物の好みを聞いておくのがおすすめです。
ゲストと一緒にスーパーに行って、食べたいものや興味のあるもの選んでもらうのも楽しいでしょう。
中には深く考えたくないと言って、和洋中のバイキング形式をとるなんて家庭もあります。
実際、受け入れ費用はいくらかかる?
団体によっては費用を一部支給してくれる場合もありますが、だいたいの場合は以下の費用がかかります。
- 食事代
- 高熱費
- 外出の際の交通費
- シャンプーなどの消耗品代
食費の場合、ゲストがどれだけ食べるか、何を作るかにもよりますし、高熱費も季節によって変わります。(暖房費、クーラーなど)
毎月の生活費の一人あたりの額を計算してみると、だいたいの予想ができるでしょう。
ホームステイの受け入れは大変な面もあるが貴重な経験になる
今回はホームステイの受け入れについて紹介しました。
ホームステイの受け入れは大変な面もありますが、とてもいい経験になります。
最初は緊張もしてお互いにぎこちないかもしれませんが、慣れてくると楽しいもの。中には「もう3回目だから」と慣れる人もいます。
受け入れる際の条件や注意点をしっかり確認して、挑戦してみてはいかがでしょうか。