小学校でも英語教育が必修化された今、子どもに英語が話せるようになって欲しいという思いから子どもを英会話教室に通わせる家庭も多いです。
しかし一方で、「子どもを英会話教室に通わせるのは意味がない」という意見も聞かれますが、実際はどうなのでしょうか?
今回は、英会話教室に通っても英語が話せるようにならなかった例をもとに、英会話教室に通うのが向いている子どものポイントや、効果的な英会話教室の活用の仕方について紹介していきます。
子どもを英会話教室に通わせるのは無駄なのか?
子どもに英語を話せるようになって欲しいと思ったら、まず思い浮かぶのは英会話教室に通わせることではないでしょうか。
しかし、英会話教室に通わせても英語が話せるようにならなかったというのはよくある話。
ここでは英会話教室が無駄になってしまった例を紹介します。
英会話教室に5年通ったのにペラペラにならなかった
知人は子どもが4歳の時から5年間、ネイティブスピーカーのいる英会話教室に週1回通わせていました。
教室では先生と簡単な受け答えができていたようですが、5年間通っても、辞めた途端すぐに簡単な受け答えも忘れてしまい、「これは無駄だったんじゃないか」という話を聞きました。
どうやら費用も総額にすると60万円以上は掛かっていたそうです。
発音は良いのに会話が続かない
筆者は小学生の頃、英語の塾に通っていたことがあり、英語を聞き取って意味を理解する力はそれなりについたと思います。
また、フォニックスを習ったので、自然と発音も良くなりました。
(フォニックスとは、英語の読み書きを覚えるための言語学習法のこと。欧米を中心に取り入られていて、音とつづりの規則を習得する。)
しかし、質問に対する返答や、自分の考えを英語で表現することに関しては、ネイティブのようにさらさらと話せるようにはならなかったのが悔やまれます。
先程の知人の子どもの場合もそうですが、「リスニング力はつき発音も良くなったが、会話が苦手で続かない」というケースはよくあるようです。
週1で英会話教室に通うだけでは意味がない
英会話教室に通っていても、英語が身にならなかったのは、「学習時間の不足」と「本人のやる気不足」が理由として考えられます。
1週間のうちほんのちょっと英語に触れても話せるようにはならない
幼児向けの英会話教室では、週に1回程度のレッスンの場合が多いです。
例えば、ECC外語学院が運営する「ECCキッズ」では、週に1回、1歳半から3歳のコースで30分、3歳コースで40分、4歳・5歳コースでは50分のレッスン時間が組まれています。
子どもの集中力を考えると適当なレッスン時間ですが、これを1ヶ月に換算すると、せいぜい3~4時間です。
たったこれだけの時間で、英語が話せるようになるでしょうか。
英語を日常で使いこなせるようになるために必要な勉強時間は、一般的に「3,000時間~4,000時間」と言われています。
ですから、週に1回、数十分の英会話教室に通っただけでは、圧倒的に勉強時間が足りないのです。
また、幼児向けの英会話教室は多くの場合、グループレッスンが組まれています。
そうなると、一人一人のレベルに合わせた内容の濃いレッスンが行われることは、難しいですよね。
親の意向で通わせていても本人にやる気がなければ身に付かない
小学校でも外国語活動が必修化され、今や小学3年生から英語を学ぶ時間が学校で確保されています。
「これからの時代は英語だ!」と親が意気込み、親の意向だけで子どもを英会話教室に通わせると、子どもの気持ちが置いてけぼりになりかねません。
英語が分からないことで嫌になる可能性もある
英会話教室の場合、レッスンが全て英語で行われる(オールイングリッシュ)を取り入れているところもあります。
英語に触れたことのない子どもは、先生が何を言ってっているのか全く分からない状態からスタートしなければいけません。
子どもからすれば、分からないことだらけでは楽しくありませんし、集中力も続かないものです。
よく分からない時間を過ごすくらいなら、おもちゃで遊んだり、YouTubeを観たりするほうがよっぽど楽しいでしょう。
英会話教室に通う理由や目標を子どもに話さないのはダメ
目的や目標もなく、ただ「英語を話せるようになって欲しい」という思いから英会話教室に通わせた場合でも同じことが言えます。
何のために英会話教室に行っているのか、英語ができるようになるとどんな良いことがあるのか、ということを、子どもと共有することも大切です。
子どもが自分の未来と結びつけることができていないと、ただやらされているという気持ちになってしまいます。
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英会話教室に通って効果がある子どもって?
もちろん、英会話教室に通っても全く意味がないというわけではありません。
英会話教室に通うからこそ、英語を学習するためのモチベーションを持ち続けられる子もいます。
では、英会話教室に通うことでプラスの効果があるのは、どのような子どもなのでしょうか。
- 英語に興味・関心があり、学ぶ意欲がある
- 英語を学ぶ理由や目標がある
- 自宅でもかけ流しや英語教材で継続した学習をする
一つずつ確認していきましょう。
英語に興味・関心があり、学ぶ意欲がある
子どもは、興味があることや、自分がやりたいことに関してはとても積極的です。
ですから、子どもが英語に親しみを感じ、興味や関心をもつようになれば、英会話教室も楽しんで通ってくれます。
乳児期の頃から英語の童謡を歌ってあげたり、絵本を読み聞かせしたりしていると、自然と子どもが英語を身近に感じて興味を持つなんて話も聞くので、幼いうちからたくさん取り入れていきたいですね。
英語を学ぶ理由や目標がある
筆者の両親は映画好きで、ビデオを借りてきたり、テレビで映画を観たりして、家族で何かしら映画を観ることが多かったのを覚えています。
しかも両親は吹き替えよりも字幕派だったので、幼き日の筆者は漢字が読めないながらも、映画の雰囲気を楽しんでしました。
そのうち感じるようになったのが、字幕なしで分かるようになりたい、というもの。
「何かを理解するために学習をする」と、学習意欲も高いので、どんどん知識を吸収できます。
このように、何か一つ目標があるだけでも、学びの姿勢は違ってくるものです。
なりたい自分や、やりたいことのために英語を学ぶ理由が子ども自身の中にできたとき、その目標への想いが強いほど、英語を学ぶためのモチベーションも高くなるでしょう。
英会話教室だけでなく自宅でもかけ流しや英語教材で継続した学習をする
前半で触れたように、子どもが週に数十分英会話教室に通った程度では、時間が圧倒的に足りません。
同じように英会話教室に通っているのに、我が子とは違って英語をすらすらと話すような子は、英会話教室以外にも英語学習を日々続けています。
つまり、子どもに英会話能力を習得させたいのなら、足りない分の時間を家庭で補う必要があるのです。
家庭でも英語をかけ流したり、教材を使って学習する時間を作ったりするようにサポートをしていけば、子どもの英会話教室での学びも無駄にはならないでしょう。
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英会話教室に通うなら目標や期限を設定しよう
英会話教室に通うのであれば、無駄にしないために大切なことがあります。
それは「目標や期限を決める」ということです。重要なポイントなので、しっかり確認していきましょう。
子どもと目標を設定する
大切なのは「子どもと相談して」達成できる目標を決めることです。親が勝手に決めてはいけません。
子どものモチベーションを上げるためにも、できるだけ子ども自身で考えられるように寄り添ってあげましょう。
ただ、いざ目標を設定するにも、具体的にはどんなことを目標にすれば良いか悩むこともあると思います。
以下に4つの具体例を紹介しますので、ぜひ目標設定の参考にしてみて下さい。
英検ジュニアのランクを上げる
(引用:日本英語検定協会公式)
英検ジュニアは、小学生向けに開発された英語のリスニングテストです。
音声を聞いて内容に合うイラストに丸をつけていくテストなので、ゲーム感覚で楽しみながら受けることができます。
英検ジュニアは「合格」というよりも、成績を正答率で表示し、80%以上の正答率で次のグレードを受ける対象となる仕組みです。
グレードは3つあり、簡単なものから順にBRONZE・SILVER・GOLDとなっています。
それぞれのグレードでの到達目標と問題例をまとめました。
【BRONZE(ブロンズ)】
到達目標:
- 英語の音やリズムに慣れ親しむ
- 初歩的なコミュニケーションに必要な語句や簡単な表現を聞き、理解する
問題例:
ライオンが描かれているイラストを見て、「This is a bear.」、「This is an elephant.」、「This is a lion.」の3つの音声を聞いて答えを選ぶ。
【SILVER(シルバー)】
到達目標:
- 日常生活での身近な事柄に関する簡単な語句や表現を聞き、理解する。それに対して簡単に応答する
- 簡単な会話や文をいくつか聞き、その中にある情報を理解する
- 文字と音声の結びつきに関心を持つ
問題例:
病院の受付のイラストがあり、Get me your card, please.という問いかけに対して、「Here you are.」と「Your right.」の2つの音声を聞いて答えを選ぶ。
GOLD(ゴールド)
到達目標:
- 日常生活での身近な事柄に関する簡単な語句や表現を聞き、理解する。それに対して質問したり応答したりする
- まとまった会話や文章を聞いて、その中の情報を整理し、その場面状況を判断したり要旨を把握したりする
- 身の回りの語句や簡単な短い文を読む
問題例:
駅のホームで親子が電車を見ているイラストがあり、Is that a right train?という問いかけに対して、「Yes, that it.」と「Yes, I do.」の2つの音声を聞いて答えを選ぶ。
(参考:日本英語検定協会公式)
関連:【英検ジュニア】子どもの英語レベルがオンラインで分かる!英検との違いを費用や出題方法で比較
ホームステイに行く
小中学生を対象としたホームステイプログラムの多くは、英語力を大きな問題にはしていません。
実際、小中学生でホームステイしている人は、ほとんど英語を話せない場合が多いそうです。
もちろん英語が話せるに越したことはないので、ホームステイに行くまでに「英語で挨拶をできるようにする」「簡単な受け答えを英語でできるようにする」などの目標を立てて勉強するのも良いでしょう。
ホームステイで大切なのは積極性や行動力、そして楽しむ気持ち。
また、親元を離れホストファミリーの家庭で過ごすため、身の回りのことを自分でできるようになっていることも重要ですね。
海外旅行で英語を使う
家族で行く海外旅行を目標に、英語を勉強するのもおすすめです。
海外旅行を楽しむために必要となる英語力は、分からないことを質問し、相手の返答を断片的にでも理解できる力。つまり、中学生で習う程度の英語力です。
旅行中いつでも英語で話せる力をつけるには相当な勉強時間が必要になるので、まずはホテルにチェックインをするときや、レストランで注文するときなど、場面を想定して、その場面で必要となる英語を勉強していくのがおすすめ。
そして勉強したことを実際に使えたときの達成感を、ぜひ子どもに体験させてあげて下さい。
海外の大学に進学する
海外の大学に進学する場合、それなりの英語力が必要です。
2年生大学では入学基準として、大体TOEFL(Test of English as a Foreign Language)でiBT 45〜61点、4年生大学では61〜80点が求められます。
また、入学後も授業や日常生活で聞く・話すという実践的な英会話能力が必要になるので、基本的な英語力はつけておく必要があるでしょう。
目標を達成するための期限を決める
目標が設定できたら、次に重要なのは、その目標を達成するための「期限を決める」こと。
目標を達成するために、いつまでに何をしたら良いのかという具体的な行動を考えることができます。
例えば、4歳の時に「5歳までにアルファベットの読み書きができるようにする」という目標と期限を決めたとしましょう。
そうすると「あと1年あるから1ヶ月ごとに目標を立てる」「最初の1ヶ月はアルファベットが出てくる絵本を毎日1回読む」など、具体的な行動計画を立てることができます。
英会話教室に通うのが大変ならオンライン英会話の利用も検討して
英会話教室に通うのが大変な場合おすすめなのが、オンラインでのレッスンを利用する方法です。
オンライン英会話は、自宅のインターネットやパソコン、タブレットを使って授業をするため、送迎のが必要がありません。
毎日1レッスンずつ受けられるコースや、定額制でレッスンを受け放題にできるコースがあるのもメリットとして挙げられます。
個人から大手英会話教室までたくさんの選択肢がありますが、ここではオンライン英会話の「DMM英会話」と、幼児・小学生向け英語教室の「七田式英語コース」の料金を比較しました。
種類 | DMM英会話 | 七田式英語 |
---|---|---|
プラン | スタンダード プラン | 英語コース |
月謝 | 月6,980円 | 月10,450円 (幼児向け) +教材費等諸経費 |
レッスン | 毎日1レッスン ×25分 | 週1回 ×40分 |
DMM英会話は、七田式英語教室のように入会金や施設費などが掛かりません。
また、時間あたりの料金を比較すると、七田式英語コースではDMMに比べて1時間あたり7倍の料金が掛かります。
コスパを考えると、自宅で受けられるオンライン英会話は圧倒的にお得ですね。
ただ、グループレッスンができなかったり、自宅では子どもが思うように切り替えられなかったりする点には注意が必要です。
子どものオンライン英会話って効果はあるの?メリットやデメリットを英会話教室と比較
幼児期の英語教育は子どものやる気や目標への意欲をもたせるのが大切
子どもが英会話教室に通うことに意味はあるのかについて考えてきました。
ポイントを整理すると、次の通りです。
- 英会話教室に通うことに意味がないわけではないが、無駄になる可能性もある
- 英会話教室に通っているのと、英会話教室で学習できているかは違う
- 英会話教室以外でも英語を学習しないと習得は難しい
- 英会話教室に通う場合は子どもに目標と意欲をもたせるといい
- 教室が合わなくてもオンライン英会話を利用する手もある
確かに、幼児期に英語に慣れ親しんでおけば、英語への抵抗感を減らすことはできますし、英語耳を鍛えたり、英語独特の発音やイントネーションに触れることができます。
ただ、子どもが英語を学ぶ楽しさや目標がないまま続けたところで、親が思うような実力を身に付けられるかは別です。
英会話教室の月謝はそう安いわけではないので、英会話教室を始めるのであれば、子どものモチベーションを維持し、継続して学習するための環境づくりを徹底するようにしましょう。