GTECは1999年にベネッセからリリースされた4技能英語検定。比較的新しい検定試験です。
本記事ではGTECの特徴や試験内容、活用方法について詳しく説明していきます。
GTECとは
GTECは、ベネッセコーポレーションとアメリカの語学教育企業ベルリッツ・インターナショナルによって共同開発された英語検定試験です。
以前までの大学入試や受験英語がリーディング偏重だったことから、リスニング、ライティングを追加した3技能検定としてスタート。
2004年からはスピーキングを加えた4技能試験になりました。
もともとは中学生、高校生が対象でしたが、現在は小学生から社会人まで受験することができます。
実生活で遭遇しやすい場面を想定した問題が多く、使えるコミュニケーション力を測定するのが目的です。
テストの採点は海外で行われ、すべての回答を複数人でチェックし、一致しない回答は上位採点者が採点することで公平性と採点の質を保っています。
(参考:GTEC公式サイト)
GTECの種類とスコアの目安、英検でいうとどのくらい?
GTECは子供向けから社会人向けまで大きく分けて3種類。
- GTEC Junior
- GTEC
- 大学生・社会人向けGTEC
さらに、それぞれ3〜4つの問題タイプがあります。
以下、各試験のスコアの目安を英検と比較しながら見ていきましょう。
(参考:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」)
GTEC Junior
GTEC Juniorのグレードは1~5に分かれていて、問題タイプはJunior1、2、Junior Plusの3つです。Junior1の受験目安時期は小学5年生。
4技能の合計上限スコアは400点で、高得点をとれば小学校で習う決まった表現を使えるレベルには到達していると言えます。
Junior2の受験目安時期は小学6年生。4技能の合計上限スコアは480点で、高得点を取れば、なじみのある英語を使いこなすことができるとみなされるレベルです。
Junior plusは中学1年生が受験目安。4技能の合計上限スコアは560点です。この問題タイプで高得点が取れれば、広がりを持って英語を使えるレベルと言うことができます。
GTEC
GTECの問題タイプは以下の4つです。
- Core
- Basic
- Advanced
- CBT(Computer-Based Testing)
Core、Basic、Advancedは検定版とアセスメント版に分かれています。
両者の大きな違いは「オフィシャルスコア証明書」がもらえるかどうか。
アセスメント版ではこの証明書がもらえないので注意しましょう。
Core
Coreの受験目安は中学2〜3年生。
上限スコアは840点で、高得点をとった場合は海外での語学研修を楽しめるレベルに達するとされ、英検では準2級に相当します。
Basic
Basicの受験目安は高校1〜2年生です。
上限スコアは1080点で、高得点をとった場合は高校留学で授業に参加できるレベルと言え、英検に換算すると2級レベルになります。
Advanced
Advancedの受験目安は高校2〜3年生。上限スコアは1280点。高得点をとった場合は海外の大学に留学して授業に参加できるレベルと言えます。英検では準1級に相当。
CBT
CBTの受験目安は高校3年生です。
上限スコアは1400点。高得点がとれれば自分がくわしくない分野の話にも対応でき、発言できるレベルです。英検では1級に相当します。
大学生・社会人向けGTEC
問題タイプはAcademic、Business、Business(公開会場版)で、大学生から業務で英語を使う社会人まで対応した試験です。上限は各タイプとも1000点となっています。
560~649点では海外出張ができて、海外向けの事業に携われるレベルです。
720~1000点では交渉やプレゼンテーション、マネージメントまでさまざまな場面で問題なく仕事で英語を使えるレベルと言えます。
GTECのスコアは大学や短期大学の試験で活用できる
大学や短期大学にはGTECのスコアを入試に活用しているところがたくさんあります。
入試に利用するなら、受験目安が高校3年生のGTEC CBTがおすすめ。
逆にGTECのアセスメント版はオフィシャルスコア証明書が発行されないため、正式なスコアとして認められないことが多く、入試への利用にはあまり向かないと言えます。
検定版のスコアは入試に利用できることが多いですが、中にはCBT以外不可という大学もあるので注意しましょう。(早稲田大学、法政大学など)
GTECのスコアを出願基準にしている大学
実際にGTECスコアを出願基準にしている大学を一部挙げてみましょう。
- 青山学院大学
- 早稲田大学
- 東京海洋大学
- 立教大学
- 学習院大学
- 中央大学
- 大阪学院大学 など
学部によっても基準が異なることがありますが、青山学院大学総合文化政策学部は、GTEC1100点以上を出願基準にしていますね。CBT、検定版ともに利用可能です。
また早稲田大学の文学部、文化構想学部は、GTEC1100点以上を出願基準にしていて、CBTのみが利用できます。
GTECのスコアに応じてみなし得点がもらえる大学
GTECのスコアに応じてみなし得点がもらえる大学もあります。
- 茨城大学
- 専修大学
- 帝京大学
- 明治大学
- 金沢大学
- 広島大学
- 鹿児島大学 など
茨城大学の工学部、工フレックス学部はGTECのスコアに応じて段階的にみなし得点が与えられ、英語の個別試験と比べて高い方の点数で合否判定がされます。CBT、検定版共に利用可能です。
一方専修大学では文学部、経済学部、法学部など多くの学部でスコアに応じて段階的にみなし得点が与えられます。こちらも同じく英語の個別試験と比べて高い方の点数で合否判定。
CBTの成績のみが有効となっています。
GTECのスコアによっては試験の代替にできる大学
次にGTECスコアによっては試験の代替にできる大学もあります。
- 千葉大学
- 札幌大学
- 上智大学
- 明治学院大学
- 中央大学
- 立教大学
- 明治大学 など
千葉大学教育学部、国際教養学部ではGTEC1190点以上で英語の個別試験を満点とし、免除になります。CBT、検定版共に利用可能です。
札幌大学地域共創学群学部では、GTEC690点以上で英語の小論文が免除されます。CBT、検定版共に利用可能です。
高校生向けGTEC CBTとAdvancedの試験内容
ここでは大学入試を控えている高校生向けの「GTEC CBT」と「GTEC Advanced」について、具体的な試験内容をそれぞれのセクションごとに説明します。(受験目安は高校2~3年生)
なおCBTはパソコンを使って受ける試験です。試験中はメモを取ることができますが、一度次の画面に進んでしまうと戻って回答することができないので注意してください。
リーディング
それぞれの試験内容を見ていきましょう。
CBTのリーディング
CBTのリーディングは約40問で試験時間は約55分。
受験者の選んだ回答や正答率で次の問題が変わってくるため、試験時間や問題数、難易度は一人ひとり異なります。
最初のうちは比較的やさしめの問題から始まり、後半に行くにつれて難易度が上がってくるのが特徴です。
全体を読んで概要を把握する問題や、選択肢の中から筆者の主張を特定する問題が出題。
文章の目的を的確に捉え、概要と要点を把握する力が求められます。
文章の内容は教授から学生への伝達事項など、実際の学生生活に基づいたものが中心です。
Advancedのリーディング
Advancedのリーディングは大問が3つあります。
PartAは14問で時間は7分。内容は短い文章の穴埋め問題です。
PartBは14問で時間は14分。情報把握や情報検索に焦点を当てた問題となっています。
最後のPartCは15問で24分。全体的には語彙を含めた基礎文法力や速読力、精読力が求められる構成になっています。
ライティング
次にライティングです。
CBTのライティング
CBTのライティングは3パートに分かれていて、すべてタイピング式となっています。
パート1は質問用紙の記入問題が4問で時間は4分。
質問はシンプルで、自分の名前や週末・長期休暇の過ごし方などが問われます。パート2は3問あり、時間は21分です。
与えられた条件に沿ったe-mailをそれぞれ30~60ワードで作成。
内容は大学生活でよくあるシチュエーションが使われます。
たとえば、クラスメートを映画に誘う、イベントの主催者に質問のメールを送るといったものです。
パート3の問題は2問で時間は40分になります。統計などのデータについて自分の意見を論理的に書く問題と、与えられたトピックについて他者の意見(論文などが参考資料として使われる)をうまく引用しながら自分の意見を述べる問題が出題。
全体としては、日常的なものから非日常的なものまで収集した情報をまとめたり、報告したりする能力を測定する試験となっています。
Advancedのライティング
Advancedのライティングは大問が2つ。
PartAはE-mailの返信問題で、時間は5分間。受け取ったメールの内容を正しく理解し、適切に返信メールが書けているかが重要です。
PartBは20分でエッセイを書き上げます。与えられたトピックに対し、論理的かつ明確に自分の主張を表現することが必要。
PartA、PartBどちらも実生活でよく起こるようなテーマが題材となっています。
リスニング
次にリスニングです。
CBTのリスニング
CBTのリスニングは約40問で試験時間は約35分。クリック形式による選択問題です。
リーディング同様に受験者ごとで後の問題が変わってくるため、試験時間や問題数、難易度は一人ひとり異なります。
問題の難易度が後半に向かうにつれて徐々に上がっていく点もリーディングと共通です。
大学の講義や学生生活で起こりえるようなアカデミックなトピックや状況に沿った問題が出題。実践的なコミュニケーション能力の測定を目的としています。
Advancedのリスニング
AdvancedのリスニングはPart A〜Dの4つです。
PartAは10問で6分。写真やイラストを見て説明する問題が出題されます。
PartBは会話応答問題で、5分間に10問出題。会話を聞いて、それに対して適切な答えを3つの選択肢から選ぶ問題です。
PartCは8問で10分。与えられた状況に対して、適切に問題を解決する能力が求められます。
PartDは10問で時間は6分。30秒〜1分程度の英文を聞き、必要な情報をうまくピックアップすることが重要になります。
スピーキング
次にスピーキングです。
CBTのスピーキング
CBTのスピーキングは全3パート。
直接面接官と話すのではなく、パソコンの音声と会話するスタイルで、ヘッドセットのマイクで自分の声を録音します。
パート1は6つの質問に対して即座に答える応答問題。時間は2分です。質問内容は名前や出身地、好きな街についてなどの日常会話がメインとなっています。
パート2は情報伝達・照会問題が3問で、時間は6分です。具体的には、与えられた地図を読み取って道案内をするといった説明能力が問われる問題が出題されます。
また答えるだけではなく、自ら質問する問題が1つは出題されるので疑問文を作ることにも慣れておきましょう。
パート2では各問題に30秒間考える時間が与えられるので、話す内容をメモしておくことができます。
パート3は意見展開問題で全3問の12分です。21世紀における英語の役割についてなど実際の講義で教授が生徒に聞くような質問が出題されます。
1問目は90秒、2問目は3分間考える時間があり、3問目は質問に対して即座に答える問題です。
自分の主張に適切な補足を入れながら、聞き手がストレスを感じない程度の流暢さで英語を話せるかがCBTスピーキングテストのカギとなっています。
Advancedのスピーキング
AdvancedのスピーキングはPart A~Dの4つで合計約20分のテストです。
PartAは音読で、内容を理解するために30秒準備時間が与えられます。ここでは発音や英語の流暢さが評価のポイントです。
PartBではデータが与えられ、それをもとに質問に答える問題が4つ出題されます。
Part3ではセリフのない4コマ漫画をみて、それぞれのコマを適切に英語で表現する問題です。聞き手に情報がうまく伝わるように意識しましょう。
最後のPartDは学校生活に関連する問いに対して自分の意見を伝える問題が出題されます。
回答時間は1分間と長めですが、準備時間も1分用意されているので、メモを取りながら自分の意見を組み立てましょう。
各レベルは公式ページからサンプル問題を見ることができるので、ぜひチェックしてみて下さいね。
GTECの受験料や申し込み方法、受験の流れ
GTECはレベルによって、団体受験しか受け付けていないものと、個人でも申し込みができるものに分かれます。
各レベルの料金、申し込み方法などを見ていきましょう。
GTECの受験料
GTECの受験料は種類によって異なります。
GTEC Junior
GTEC Juniorは原則団体受験のみですが、ベネッセの英語教室「BEstudio」の生徒であれば、個人での申し込みが可能です。
種類 | 受験料 |
Junior 1 | 4,180円 |
Junior 2 | 4,180円 |
Junior Plus | 4,7,30円 |
*2019年度データのため、税率が8%となっています。(参考:BEstudio 「【GTEC Junior】受験のお申し込み」)
GTEC
GTECはCBT以外、個人受験を受け付けていません。
種類 | 受験料 |
CBT | 9,900円 |
CBTの受験料は9,900円(10%税込)です。
またオフィシャルスコア証明書の追加発送料が1通につき1,100円(10%税込)かかります。
大学生・社会人向けGTEC
大学生・社会人向けのGTECは、4技能試験と2技能試験LR(リスニング&リーディング)とLS(リスニング&スピーキング)に分かれています。
種類 | 受験料 |
GTEC Business 4技能 (公開会場) | 14,520円 |
GTEC Business 2技能(LR) (公開会場) | 4,620円 |
GTEC Business 4技能 (自宅受検) | 8,800円 |
GTEC Business 2技能(LR) (自宅受検) | 2,420円 |
支払い方法はクレジットカード、コンビニ決済、銀行振込(Pay-easy)から選ぶことができます。
コンビニ決済とPay-easyの支払い期限は申込日を含めて3日間です。
GTECの申し込み方法(個人受験の場合)
GTEC Junior、CBT以外のGTECは原則として団体受験です。
ここでは個人での申し込みが可能なGTEC CBTと、大学生・社会人向けGTECの申し込み方法を紹介します。
GTEC CBT
CBTは年に3回試験があり、2回まで受験することができます。
まずはGTEC公式サイトのマイページからIDを新規登録。
申し込み可能期間は公式サイトの検定概要から確認しましょう。
なお申し込み時には以下の写真データをアップロードする必要があります。
- 3ヶ月以内に撮影されたもの
- 無帽、正面を向いた顔がはっきりと確認できるもの
- ファイルサイズは50KB以上1MB未満
- 縦横の比率が4:3であるもの
大学生・社会人向けGTEC
最初に大学生・社会人向けGTECマイページの新規登録ページからアカウントを作成します。
マイページの「チケットを購入する」メニューから希望のタイプ(公開会場受検版/自宅受験)と技能数(4技能か2技能)を選び、購入。
その後同ページから写真登録と会場選択をすればOKです。
個人受験の実施場所
GTEC CBTは全都道府県に会場がありますが、申し込みの人数が規定に達しない場合は設置されないことも。
受験会場の詳細な住所と地図は受験票から確認できます。受験票は受験日の約10日前からマイページで取得可能です。
大学生・社会人向けGTECは自宅受験と公開会場受験が選択できます。公開会場は全国におよそ20箇所です。
すべての都道府県にあるわけではないので、公開会場空席照会から最寄りの会場を探しましょう。
GTEC受験までの流れ
GTECの受験までの流れは以下の通り。
- 試験約10日前にマイページから受験票を取得し、受験会場の詳細な住所や受付開始時間を確認
- 受験票の受付開始時間通りに会場入り
- テスト開始
試験当日は遅刻は一切認められていないので気をつけてください。
受験結果は試験から約5週間後に、マイページ上でスコアを確認できます。
GTECの勉強をしておくと進学に役立つ可能性が高い
本記事ではGTECについて種類やレベルなどの基本情報から、GTECのスコアが大学入試の出願基準としても使用されていることなど詳しく紹介しました。
GTECで高スコアをとっておけば、大学入試などの進学に役立つ可能性が高いので、今から少しずつでも勉強していくと良いでしょう。