ディクテーションは、聞こえてきた音声を書きとる勉強法。
わざわざ文章を書きとるなんてすごく手間のように感じますが、英語のリスニングに非常に効果があることで知られています。
実際に、短期間で確実に英語力を伸ばすと謳っているコーチングスクールでは、ディクテーションを自主学習として行っているところが多いです。
本記事では、正しいディクテーションの方法や注意点、ディクテーションにおすすめの教材やアプリなどを詳しく紹介します。
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ディクテーションとは?
ディクテーションとは、聞こえてきた音声をそのまま書きとっていく学習法のこと。
ディクテーションは英語学習に限らず、フランス語やスペイン語など第二言語を習得するのに役立ち、特にリスニングに効果的だと言われている勉強法の一つです。
短期で英語力を上げると謳っているコーチングスクールでも推奨され、リスニング力をアップさせるという目的で使われています。
ディクテーションはリスニングにどんな効果が出る?メリットは?
ディクテーションはリスニングに効果的だと言われていますが、具体的にどんなメリットがあるか見ていきましょう。
- リスニングで聞き取れていない部分が明確になる
- 音の変化が分かるようになるから推測力がつく
- 単語や熟語の語彙力がつく
- 正しいアクセントが分かるようになる
以下で一つずつ説明していきます。
リスニングで聞き取れていない部分が明確になる
ディクテーションをすることによって、これまで聞き取れなかった部分が明確になるのがメリットの一つ。
すでに知っている単語でも、ネイティブが実際に発音すると「自分が思っていた発音と違う」なんてことがあるからです。
例えば、リンキングといって、”How about you?”が「ハウバウチュー」のように、単語の音がつながっている部分が弱かったり、熟語が分かっていなかったから聞き取れなかった、などが分かります。
この発見により「tとyがくっついたらチューって聞こえるのか」ということが分かってきて、リスニング力がアップしていくというわけですね。
リダクションなど音の変化が分かるようになるから推測力がつく
音声を書き出していくうちに、音の変化が分かるようになるのもディクテーションのメリットです。
たとえば単語の最後がd、p、b、tなどの音の場合、その部分がほとんど聞こえないことに気付くでしょう。
“Good job.”(グッジョブ)が代表例ですね。グッドのdの音が聞こえません。
このように、単語がつながっている時に部分的に音が聞こえなくなることを「リダクション」と言います。
リダクションが分かってくると「もしかして繋がっている単語なのかも」という風に、段々と単語が推測できるようになるのです。
単語や熟語の語彙力がつく
ディクテーションをしていると、初めて聞く単語や熟語がたくさん出てくるので、語彙力がつくのもメリットの一つ。
どんなに英語が話せる人でも、全ての英単語や熟語をマスターしている人はほとんどいないでしょう。
大人になってから知る日本語も結構あるように、英単語も何年勉強しても尽きないもの。
知っている単語が増えれば会話で使うことができるので、話をもっと広げられますね。
正しいアクセントが分かるようになる
ディクテーションをしていると、出てくる単語の正しいアクセントが分かるようになります。
日本人はよくカタカナ英語を使うので、自分では合っていると思っていても、実際のアクセントは違うこともしばしば。
たとえばエレベーターと言う時は「べ」の音を強く言いがちですが、英語では最初の「エ」の音を強く言います。
音声として聞くことで、日本人が間違いやすいアクセントが分かるので発見になりますね。
英語の発音を良くするメリットや良くなる方法。発音記号の勉強をすればいい?発音矯正スクールは効果ある?
初心者でもできるディクテーションの正しいやり方、効果的な方法
ディクテーションの効果、メリットが分かったところで、早速ディクテーションの正しいやり方について説明します。
とりあえず英語を流して、そのまま書きとればいいというものではないので注意が必要。せっかくなら効果的な方法で学習しましょう。
ここでは初心者でもできるやり方、英会話スクールなどでも推奨されている方法を紹介します。
- テキストつきの音声教材、音源を用意する
- 最初に音声を1度流して内容に目を通しておく
- 一文ずつ音声を止めてノートに書き出していく
- 答え合わせをして聞き取れない箇所を分析する
具体的に見ていきましょう。
テキストつきの音声教材、音源を用意する
まずテキスト(スクリプト)付きの音声教材、音源を用意します。
海外ドラマや洋画やなどの動画で勉強する人もいますが、初心者にはかなり高度なので、教材からスタートするのがおすすめです。
ディクテーションの教材の中でも「What ( ) you ( )?」など、穴埋め式のものがあるのでそこから始めてみるといいでしょう。(おすすめ教材に関しては後述します)
最初に音声を1度流して内容に目を通しておく
テキストを全く見ないままディクテーションを始めるのは難易度が高いので、最初に音声を1度流し、おおよその内容を把握できるように目を通します。
たとえばレストランのワンシーンだとか、タクシーの中でのやり取りだとか。
内容をおおよそ把握してからディクテーションにチャレンジすることで、シーンに応じた単語の推測ができたり、リンキング(つながって聞こえる音)に気づくことができます。
一文ずつ音声を止めてノートに書き出していく
ディクテーションをする時は、単語単語で一回ずつ区切らずに、一文ずつ音を止めてノートに書き出していきましょう。
たとえば”I would like to speak English well.(私は英語を上手に話したい)”という文を書き出す際、”I”や”would like to”だけで一回ずつ音声を止めるのではなく、最後の”well.”まで聞いてから止めます。
一つの単語で区切ってしまうと、音のリズムやアクセントに注目できずに単語の聞き取りだけに集中してしまうため、効率が悪くなってしまうからです。
答え合わせをして聞き取れない箇所を分析する
答え合わせをする際は、正解の文章と照らし合わせて自分がどんな部分が聞き取れないのか分析することが大事です。
回数を重ねると、そもそも自分が文法を理解していないため文章構造ができていないとか、リダクションに弱いなど共通ポイントが見えてくるもの。
改善点が分かれば、その部分を強化していくことでぐんとリスニング力が上がります。
ディクテーションの注意点
よしやろうと意気込んでディクテーションを始めたはいいけど、なんだかレベルが追い付いていかない、全然前に進まないということはありがちです。
ディクテーションをする際の注意点は以下の4つ。
- 全く聞き取れないレベルの音声教材を使わない
- 最初から長文にチャレンジしない
- 聞いている最中は単語の綴りや意味は気にせず進める
- どうしても聞き取れないところに執着しない
詳しく見ていきましょう。
全く聞き取れないレベルの音声教材を使わない
ディクテーションでつまずきがちなパターンの1つ目は、自分のレベルよりも高いレベルの音声教材を選んでしまうこと。
音声教材はできるだけ自分の知っている単語が多いもの、内容がなんとなく想像がつくものを選ぶのがポイントです。
自分の知らない難しい単語ばかりが頻出するようでは、書きとれなくて当たり前。そうなると単語の勉強から始めていかなくてはいけなくなってしまいます。
自分には少し易しいかもしれない、と感じるくらいのレベルから始めてもいいでしょう。
最初から長文にチャレンジしない
最初から長文にチャレンジするのもまた、ディクテーションでつまずきがちなパターンの一つ。
ただでさえ書き取りに慣れていない場合、長文から始めてしまうと書き取りスピードが追い付かなかったり集中力が続かなかったりと挫折しやすいので注意が必要です。
最初は短文から始めて、慣れてきたら徐々に文章量を増やしていきましょう。
聞いている最中は単語の綴りや意味は気にせず進める
ディクテーション中、綴りはこれで合っているのか、この単語の意味は何だったかなと立ち止まってしまい、次に流れてくる音声が耳に入らずに進めないということが起こりがち。
聞いたことのある単語の場合、つい単語の綴りや意味が気になってしまうことも多いですよね。
ただディクテーションではあくまでも「英語で流れてきた音声」を書き取る学習法なので、綴りや意味は気にせずに進めることがポイントです。
綴りや意味は答え合わせの際に覚えていきましょう。
どうしても聞き取れないところに執着しない
ディクテーションをしていると、どうしても聞き取れないところが必ず出てくるもの。
しかし英語にはリダクションやリンキングなど音の法則があったり、知らない単語も出てくるため仕方ありません。
そんな時はどうしても聞き取れないところに執着せず「自分はリダクションに弱いんだな」などと原因を考える方が効率的。
一つの単語につっかえて時間をとられないように心掛けましょう。
ディクテーションに関するQ&A
ディクテーションに関するQ&Aを紹介します。
Q.ディクテーションとシャドーイングはどっちからやるべき?順番はある?
ディクテーションと並んで比較されやすいのが、シャドーイングといった学習法。
シャドーイングは聞こえてくる英語と全く同じ発音を少し遅れて、影(shadow)のように繰り返す学習法のことです。
どちらもリスニング力の向上にも効果がありますが、シャドーイングでは音声を真似て発声することで発音が上手くなっていくので、その結果言っていることが相手に伝わりやすくなり、スピーキング力の向上にも期待ができます。
そのためリスニング力にプラスして発音を磨きたい、スピーキング力を上げたいという人はシャドーイングから始めてみるといいでしょう。
一方ディクテーションでは、語彙力が増えたり綴りの正確性が増すのでライティングにも効果的。
リスニング力にプラスして語彙力を増やしたい、TOEICなどライティングの試験にもチャレンジしたいという人は、ディクテーションから始めるのがおすすめです。
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Q.映画や海外ドラマでディクテーションするのも効果ある?
教材ではなく、映画や海外ドラマなどの動画を使ってディクテーションを行った場合でも効果は変わりません。
ただディクテーション用に作られた音声教材と違って、映画の場合は音声スピードが速く内容も難しいので初心者には高度です。
初心者が動画でディクテーションする場合は、幼児向けのアニメなど聞き取りやすいものから始めるといいでしょう。
また動画の音声速度を遅くしたり、スクリプトでテキストをしっかり確認できるものを選ぶのもポイントです。
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Q.ノートやメモに手書きするべき?パソコンはだめ?
ディクテーションはノートに書くのが一般的ですが、最近ではTOEICやIELTSなどのライティング試験がパソコン入力になっていることもあるので、自分のやりやすい方法で行うのがベスト。
ただ手を動かしてノートに書くことで、より記憶に定着しやすいという話もあります。
メモなら書き切れないこともあるので、手書きならノートがおすすめです。
ディクテーションにおすすめの音声教材(アプリ、本、サイト)
ここからはディクテーションにおすすめのアプリ、本、学習サイトなどを紹介します。
スタディサプリEnglish(有料アプリ)
(画像引用:Apple store)
CMでおなじみの「スタサプ」ことスタディサプリEnglish(iOS, Android)は、TOEICテスト対策ができる英語学習アプリ。
英語解説を含む動画教材を使って、ディクテーションだけでなくシャドーイングでも学習していけるのが特徴。
通学や通勤のスキマ時間にスマホで1回1~3分で学習ができます。
月額2,178円(税込)からですが、ストーリー性がある動画教材が人気で、人気ドラマ「ごくせん」や「下町ロケット」などを手掛けた脚本家が担当していることもあって、面白いと評判です。
7日間の無料体験ができるのでチェックしてみて下さい。
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ディクトレ(無料アプリ)
(画像引用:Apple store)
ディクトレ(iOS,Android)は、ディクテーションに特化した英語学習アプリ。後で紹介する学習サイト「英語リスニング無料学習館」のアプリ版です。
音声のループ再生機能があるので、繰り返し音声を聞くことができ、問題文スクリプトだけでなく単語訳や解説もついているのが特徴です。
英語を聞き取る、タイピングで打ち込む、答え合わせの繰り返しでリスニング力をアップさせます。
無料なので、お金をかけずに学びたいという人におすすめです。
CD付聞いて書きとる英語リスニング300問(本)
(参考:Amazon)
聞いて書きとる英語リスニング300問は、簡単な英文なのに聞きとれない原因を、5つのパターンから解明してくれるディクテーションの本。
たとえば”I can” と “I can’t”の聞き分けができないといった「一見簡単そうに感じる英文」について、基礎編ではつまずきやすい5つのパターンとして説明しています。
基礎編、エクササイズ編…と徐々にレベルアップしながら進むので、基礎から着実にリスニング力を鍛えたいという人におすすめ。
ただ初級150問、中級100問、上級50問と問題数がレベルに応じて少なくなるので、上級者には向かないかもしれません。
ゼロからスタートディクテーション(本)
(画像引用:Amazon)
ゼロからスタートディクテーションは、初級から中級者向けの音声教材。
短文から会話、ニュースやアナウンスまで、さまざまな素材で練習できるのが特徴です。
1日10分の書き取りを11日間行うプログラム構成なので、まずは短期的にやってみたいという人におすすめの1冊。
英語リスニング無料学習館(サイト)
(画像引用:英語リスニング無料学習館)
英語リスニング無料学習館は、アプリ「ディクトレ」のWeb版です。
通勤中はスマホのアプリで学習するけど、家ではPCを使って学習したいという人にもってこいのサイト。これまで24万人以上もの人が利用しています。
TOEIC用の音声教材やシチュエーション別英会話、ニュースやYouTube、海外の人気プレゼン動画TEDなど、様々な音声教材を無料で聞くことができます。
仕事で英語を使うという人はTEDで学習すると、リスニング向上だけでなくビジネス英語も学べるのでおすすめ。
ディクテーションでリスニング力やライティング力を身に付けよう
ディクテーションは英語の上達に欠かせない勉強法の一つです。
単語を目で見ているだけでは、実際の音は分からないもの。
音声になると聞こえ方が違うことや音の法則が分かってくることで、リスニング力が伸びるだけでなく、ライティングにも効果を発揮します。
最初は簡単な短文から始めて、徐々に難易度を上げていき、英語力を高めてみてはいかがでしょうか。